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「見え透く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

見え透くの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
梓川の上流」より 著者:小島烏水
は、夢のように消えて、水音は清々《すがすが》しい。 川は浅く、底は髪の毛一筋も見え透く雪解水《ゆきげのみず》であるが、碧《へき》きわまって何でもこの色で消化し....
忠直卿行状記」より 著者:菊池寛
るものになって来た。 彼は、今まで自分の愛した女の愛が不純であったことが、もう見え透くように思われた。 自分が、心を掛けるとどの女も、唯々諾々《いいだくだく....
うつり香」より 著者:近松秋江
いたよ」 それを聴いて私はいよいよ柳沢が蔭でお宮にいろんなことをいっているのが見え透くように思われた。 「柳沢がどんなことをいっていた?」 私は思わず顔を恐....
道徳の観念」より 著者:戸坂潤
も知れぬ。もしそういうものがあったなら、夫は貧弱極まる倫理学としてあまりに露骨に見え透くからだ。併し如何に云わば客観的な倫理学でも、その原理=端初は、主観的なの....
ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
ら聞くと。もしも治癒れば迷惑千万。なろう事なら殺して欲しいと。云わぬ心がハッキリ見え透く。ここが患者の生死の境いで。医者が大いに儲かるところじゃ。……オットそん....
鼻の表現」より 著者:夢野久作
その底の底に悪魔らしい明智と胆力に対する確信の誇りが浮き上っているのがわけもなく見え透くのであります。さもなくとも普通人でも冷静な気持でこれに対するか、又は初め....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
には深いグルンドがある。もとより道徳を説明し、あるいは説教せんとするアプジヒトの見え透くような作品からは、純なる芸術的感動を生ずることはできないけれども、たとい....
平凡」より 著者:二葉亭四迷
なる、それが普通だと、まあ、思って自ら慰めている。 もう斯《こ》うなると前途が見え透く。もう如何様《どんな》に藻掻《もがい》たとて駄目だと思う。残念と思わぬで....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
、静になって、風の音もしなくなりました。 ト屋根に生えた草の、葉と葉が入交って見え透くばかりに、月が一ツ出ています。――今の西瓜が光るのでした。 森は押被さ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
をわが手に納めんとの下心より、一層、当家に対して、腹黒き計略が歴々《ありあり》と見え透くようでござりまする。それ故に、このたびのお人定めは疎略に相成りませぬ、万....
かげろうの日記」より 著者:堀辰雄
れたので、伺えなくなったと仰ゃっておられました」と私に言うのだった。そんなお心の見え透くような御言葉なら、いっそ何にも聞いて来なかった方がよかった位だったのに。....
俳人蕪村」より 著者:正岡子規
《くに》千余年間の和歌のいかに簡単なるかを見ば、人の思想の長く発達せざりし有様も見え透く心地す。この間に立ちて形式の簡単なる俳句はかえって和歌よりも複雑なる意匠....
式部小路」より 著者:泉鏡花
りと座敷の真中へ持出したは、庭の小菊の紫を、垣から覗く人の目には、頸の雪も紅も、見え透くほどの浅間ゆえ、そこで愛吉の剃刀に、衣紋を抜かん心組。 坐りもやらず蒲....
取り交ぜて」より 著者:水野葉舟
る自分の従弟が先日来ての話である。 夜中にその室の襖が開く、そうすると次の室が見え透く。不思議に思って翌朝その事を次の室の友人に話すと、那※《そんな》ことは知....