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見たようだ
「見たようだ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
見たようだの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
し首《こうべ》を正して言えり。 「抱いた記憶《おぼえ》はないが、なるほどどこかで
見たようだ」 「
見たようだもないもんだ。高岡から馬車に乗ったとき、人力車と競走《....
「草枕」より 著者:夏目漱石
は》がぴかりと光った。四十|恰好《がっこう》の逞《たくま》しい男である。どこかで
見たようだ。男は旧知のように馴々《なれなれ》しい。 「旦那《だんな》も画を御描《....
「党生活者」より 著者:小林多喜二
、はるばると……」を口笛で吹いて、下宿には入らずに通り過ぎた。洋服の男は私の方を
見たようだったが、その見方は張り込んでいる見方にしては、何処《どこ》か不審なとこ....
「田端日記」より 著者:芥川竜之介
妙な異人の女が、ジェコブの小説はないかと云って、探している。その女の顔をどこかで
見たようだと思ったら、四五日|前に鎌倉で泳いでいるのを見かけたのである。あんな崔....
「宇宙の迷子」より 著者:海野十三
。大きな丸いテントを張って、それをすぐそばに建っているとうの窓から身をのりだして
見たようだとでもいうか、家の二階までがすっぽりはいる大きな雪の玉をこしらえて、そ....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
る。 川端へ着くと、薄らと月が出たよ。大川はいつもより幅が広い、霧で茫として海
見たようだ。流の上の真中へな、小船が一|艘。――先刻ここで木の実を売っておった婦....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
られて、道頓堀から千日前、この辺の沸くり返る町の中を見物だから、茫となって、夢を
見たようだけれど、それだって、大阪に居る事は確に承知の上です――言わなくっても大....
「霧陰伊香保湯煙」より 著者:三遊亭円朝
えー実に驚きました、此のお子は茂之助さんの子かい、へえ……道理で此の女は何処かで
見たようだと始まりから思ったが、私も斯う係蹄に掛るとは知らず、真実私に心があるの....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
百家、老荘、楊墨、孟子、その辺にも大衆という文字は覚えがねえが……でも、どこかで
見たようだ。左伝か、荀子《じゅんし》か…… 実によけいな心配をしたもので、お手....
「蠱惑」より 著者:豊島与志雄
見たことが確にある。少くともそのカフェーで前に一、二度見たことがあった。通りでも
見たようだ。旅の記憶にも彼の顔がある。それから私はのび上って記憶の地平線の彼方に....
「林檎」より 著者:豊島与志雄
ぐるりと横手へ向きを変えて、腰掛の背にもたせた枕へつっ伏した。そしていろんな幻を
見たようだったが、いつしかうっとりと寝込んだらしい。 私が眼を覚した時には、も....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
んこんなことになるらしかった。
「いったいあの男は何者だろう?……確かにどこかで
見たようだが。……いずれにしても俺はあんな奴に瞞《だま》されはしないぞ。」
そ....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
の父母……
「おや」と嘉門足を止めて、藤棚のほうをのぞき込んだ。「見て悪いものを
見たようだぞ」
藤棚の横に捨て石があったが、それに腰をかけて若い男女が、睦まじ....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
すべて痩せて、すらりとしてるんですから、余り短く、でくでくしてると、不具者の人間
見たようだって、あの人に気に入らなかったんです。気に入らない処はたったこれだけな....
「褐色の求道」より 著者:岡本かの子
の道印を両手で結んで立ちながら、丁寧に頭を下げた。 私の素振りを横眼でちらりと
見たようだった青年は、急に手を解き捨て膝を立ててしまった。その様子が、如何にも極....