見ゆ[語句情報] » 見ゆ

「見ゆ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

見ゆの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
て覗き込むように瞳をためて顔を見た。 胸の血汐の通うのが、波打って、風に戦いで見ゆるばかり、撓まぬ膚の未開紅、この意気なれば二十六でも、紅の色は褪せぬ。 境....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
あろうぞ。私は幾度かかかる悟性の幻覚に迷わされはしなかったか。そしてかかる悟性と見ゆるものが、実際は既定の概念を尺度として測定されたものではなかったか。私は稀に....
かんかん虫」より 著者:有島武郎
力に対して、余り悲惨な抵抗を試みて居るのであった。 私は依然波の間に点を為して見ゆる其の甲虫を、悲惨な思いをして眺めている。ヤコフ・イリイッチは忘れた様に船渠....
海神別荘」より 著者:泉鏡花
く顕る。続いて花の赤き同じ燈籠、中空のごとき高処に出づ。また出づ、やや低し。なお見ゆ、少しく高し。その数|五個になる時、累々たる波の舞台を露す。美女。毛巻島田に....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
女山伏の、優しい声して、 「思いなしか、茸の軸に、目、鼻、手、足のようなものが見ゆる。」 と言う。詞につれて、如法の茸どもの、目を剥き、舌を吐いて嘲けるのが....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
の玉を砕くは、日に黄金、月に白銀、あるいは怒り、あるいは殺す、鋭き大自在の爪かと見ゆる。 二 修業中の小次郎法師が、諸国一見の途次、相州三崎まわ....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
きあげたまえと約束し、一の利剣を抜持って、」 と扇をきりりと袖を直す、と手練ぞ見ゆる、自から、衣紋の位に年|長けて、瞳を定めたその顔。硝子戸越に月さして、霜の....
茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
く、大なる蜘蛛の浸んだような、峰の天狗松の常燈明の一つ灯が、地獄の一つ星のごとく見ゆるにつけても、どうやら三体の通魔めく。 渠等は、すっと来て通り際に、従七位....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
過ぎて婀娜めくばかり。眉の鮮かさ、色の白さに、美しき血あり、清き肌ある女性とこそ見ゆれ、もしその黒髪の柳濃く、生際の颯と霞んだばかりであったら、画ける幻と誤るで....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
五畳、三畳、真砂の床に絶えては連なる、平らな岩の、天地の奇しき手に、鉄槌のあとの見ゆるあり、削りかけの鑪の目の立ったるあり。鑿の歯形を印したる、鋸の屑かと欠々し....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
から先きは汝一人で行くのじゃ。あれ、あの入江のほとりから、少し左に外れたところに見ゆる真平な街道、あれをどこまでもどこまでも辿って行けば、その突き当りがつまり竜....
良夜」より 著者:饗庭篁村
として六円余、また東京へ着して三四ヶ月の分とて三十円、母が縫いて与えられし腹帯と見ゆる鬱金木綿の胴巻に入れて膚にしっかと着けたり。学校の教師朋友などが送別の意を....
瓜の涙」より 著者:泉鏡花
蛇であろう。 その桃に向って、行きざまに、ふと見ると、墓地の上に、妙見宮の棟の見ゆる山へ続く森の裏は、山際から崕上を彩って――はじめて知った――一面の桜である....
活人形」より 著者:泉鏡花
虐殺 二重の壁 赤城様――得三様 旭 雲の峰は崩れて遠山の麓に靄薄く、見ゆる限りの野も山も海も夕陽の茜に染みて、遠近の森の梢に並ぶ夥多寺院の甍は眩く輝....
茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
。身に近い栗の木、榛の木などの幹にも枝にも綿のように垂れ下った猿麻※がしろじろと見ゆるばかりである。長く下ったものは一尺余りもある。手近の杜松の枝などから毟り取....