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「見上げる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
見上げるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
。ただし今度は上半身《じょうはんしん》。少年はこの男に追いついて恐る恐るその顔を
見上げる。彼等の向うには仁王門《におうもん》。
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....
「尾生の信」より 著者:芥川竜之介
尾生《びせい》は橋の下に佇《たたず》んで、さっきから女の来るのを待っている。
見上げると、高い石の橋欄《きょうらん》には、蔦蘿《つたかずら》が半ば這《は》いか....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
が」と声をかけた。お鳥は横になったまま、夜着の襟に口もとを埋めていた。が、彼女を
見上げると、目だけに微笑に近いものを浮かべ、「おや、まあ、よく早く」と返事をした....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
が式台へ上がると、あわただしく出迎えた下女の杉が、手をついたまま、下から彼の顔を
見上げるようにして、
「和泉屋《いずみや》さんが、お居間でお帰りをお待ちでござい....
「不思議な島」より 著者:芥川竜之介
に不二《ふじ》に似た山が聳えている。それは不思議でも何でもない。けれどもその山は
見上げる限り、一面に野菜に蔽《おお》われている。玉菜《たまな》、赤茄子《あかなす....
「葱」より 著者:芥川竜之介
身じまいに注意を払っているらしい。
「御待たせして?」
お君さんは田中君の顔を
見上げると、息のはずんでいるような声を出した。
「なあに。」
田中君は大様《お....
「日光小品」より 著者:芥川竜之介
そうしてその紅葉と黄葉との間をもれてくる光がなんとも言えない暖かさをもらして、
見上げると山は私の頭の上にもそびえて、青空の画室のスカイライトのように狭く限られ....
「羅生門」より 著者:芥川竜之介
門をつつんで、遠くから、ざあっと云う音をあつめて来る。夕闇は次第に空を低くして、
見上げると、門の屋根が、斜につき出した甍《いらか》の先に、重たくうす暗い雲を支え....
「路上」より 著者:芥川竜之介
は》めこんだ時計の下に、うす暗い書庫の入口が見えた。そうしてその入口の両側には、
見上げるような大書棚《おおしょだな》が、何段となく古ぼけた背皮を並べて、まるで学....
「白」より 著者:芥川竜之介
。
「お嬢さん! 坊ちゃん! 今日は犬殺しに遇《あ》いましたよ。」
白は二人を
見上げると、息もつかずにこう云いました。(もっともお嬢さんや坊ちゃんには犬の言葉....
「槍が岳に登った記」より 著者:芥川竜之介
》。少しおかしいが全く石の洪水という語がゆるされるのならまさしくそれだ。上の方を
見上げると一草の緑も、一花の紅もつけない石の連続がずーうっと先の先の方までつづい....
「誘惑」より 著者:芥川竜之介
ん」は十字架の下の岩の上へ倒れている。が、やっと顔を起し、月明りの落ちた十字架を
見上げる。十字架はいつか初《う》い初《う》いしい降誕の釈迦《しゃか》に変ってしま....
「或る女」より 著者:有島武郎
上の所にさっと熱い血の寄って来るのを感じた。それがまた憤《いきどお》ろしかった。
見上げると朝の空を今まで蔽《おお》うていた綿のような初秋の雲は所々ほころびて、洗....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
めると、其処はやや平坦な崖地になっていました。そして四辺にはとても枝ぶりのよい、
見上げるような杉の大木がぎッしりと立ち並んで居りましたが、その中の一|番大きい老....
「初雪」より 著者:秋田滋
それは、鬱蒼と茂った老樹にぐるりを囲まれた、石造りの宏壮な建物だった。正面には、
見上げるような樅の木叢がたちはだかっていて、視界を遮っていたが、右のほうには隙間....