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見入る
「見入る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
見入るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「藤十郎の恋」より 著者:菊池寛
な見事な最期じゃ。 藤十郎 (引き付けられたように、歩み寄りながら、じっと死顔に
見入る。言葉なし)……。 若太夫 (息せきながら、駆け込んで来る)何事じゃ。何事....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
はただ一人|獣色といわれる樺色の百姓服を着て、繩の帯を結んで、胸の前に組んだ手を
見入るように首を下げて、壁添いの腰かけにかけていた。クララを見ると手まねで自分の....
「デパートの絞刑吏」より 著者:大阪圭吉
してくれた。説明が終わると、私達は許しを得て死体に接近し、罌粟の花の様なその姿に
見入る事が出来た。 頭蓋骨は粉砕され、極度に歪められた顔面は、凝結した赤黒い血....
「食魔」より 著者:岡本かの子
とについて一々、姉のすることを覗いて来たが、今は台俎板の傍に立って笊の中の蔬菜を
見入る。蔬菜は小柄で、ちょうど白菜を中指の丈けあまりに縮めた形である。しかし胴の....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
鳴をおあげになりました」と伸子は、まざまざ恐怖の色を泛べて、法水の顔を窺うように
見入るのだった。「最初私は、レヴェズ様があの際にいらっしゃったので、あるいは、驚....
「出家とその弟子」より 著者:倉田百三
ったろう。(間)何を見ているのだえ。 松若 うむ。おいしかったよ。(熱心に絵本に
見入る) お兼 今の間に少し裁縫をしよう。(炉のはたに近く縫いさしの着物を持ちき....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
が自分をいちばん愛するものの、一生懸命の慰めの言葉か?」と、思わず黙って母の顔を
見入ることがある。そのようなとき、自分はじつに淋しい。自分はときどき思う。「自分....
「爆薬の花籠」より 著者:海野十三
や、へんなものが出て来やがった」 とつぜん、帆村は猛然と飛びこんだ。塗料の棒に
見入るトラ十のからだに、わずかの隙を見出したのであった。帆村の鉄拳が、小気味よく....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
ました。 公子 ああ、まだるっこい。賽を二つ一所に振ろうか。(手にしながら姿見に
見入る。侍女等、等く其方を凝視す。) 侍女五 きゃっ。(叫ぶ。隙なし。その姿、窓....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
も端然としていた。黛の他に玲瓏として顔に一点の雲もなかった。が、右手に捧げた橘に
見入るのであろう、寂しく目を閉じていたと云う。 時に、途中ではさもなかった。こ....
「人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
いを振り撒きながら、産後のお岩は、鏡を手に持ち、見るも無残な変貌を、物怖ろしげに
見入るのであった。 それは、おどろ怖ましい色であり、靄であって、その物凄まじい....
「決闘場」より 著者:岡本かの子
一寸解し兼ねる処に、何んとなく恐ろしいような物珍らしさが手伝って我れ知らずじっと
見入るように引きつけられるのであった。 此の決闘場へ近づいて来た三人組があった....
「ガルスワーシーの家」より 著者:岡本かの子
るね」 そして斜に丘へ射し渡る秋の夕陽の寂光にすかして彼はあらためて自分の掌を
見入るのであった。....
「火夫」より 著者:カフカフランツ
を坐らせて、ほめてくれるだろうか。彼らにとても従順な彼の眼のうちを一度は、一度は
見入るだろうか! これはどうもたしかとはいえない問いだし、またそんな問いを提起す....
「ベートーヴェンの生涯」より 著者:片山敏彦
性に有限なる性を比べてみるために)やがて滅びるべき運命を持つ者の眼が、明るい鏡に
見入るかのように……(一八一五年) 〔以上四つの文章にはその頃ベートーヴェンがド....