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「見向き〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

見向きの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
《しん》からやつれた面影などを思い起こした。そしてさらに、母の死んだ夜、日ごろは見向きもしなかった親類たちが寄り集まって来て、早月家《さつきけ》には毛の末ほども....
或る女」より 著者:有島武郎
ぬ》を裂くように疳癖《かんぺき》らしい調子になっていた。別室に妹の駆け込んだのを見向きもしない愛子の不人情さを憤る怒りと、命ぜられた事を中途|半端《はんぱ》でや....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
叫ばれた。 一刻の暇もない農繁の真最中に馬市が市街地に立った。普段ならば人々は見向きもしないのだが、畑作をなげてしまった農夫らは、捨鉢《すてばち》な気分になっ....
卑怯者」より 著者:有島武郎
思わず上体を前に泳がせた。子供は、よけてもらったのを感じもしない風で、彼の方には見向きもせず、追って来る子供にばかり気を取られながら、彼の足許から遠ざかって行っ....
星座」より 著者:有島武郎
ら、柿江はぼろぼろになった自分の袴を脱いで、それに書物包みをくるみ始めた。森村は見向きもせずに前どおりな無表情な顔を眼の前の窓の鴨居《かもい》あたりに向けたまま....
高野聖」より 著者:泉鏡花
ゃりませ。)とまた一ツ背中を叩《たた》いた、親仁《おやじ》は鯉を提《さ》げたまま見向きもしないで、山路《やまじ》を上《かみ》の方。 見送ると小さくなって、一座....
婦系図」より 著者:泉鏡花
優しげな睫毛が、(どうかなさいよ。)と、主税の顔へ目配せする。 酒井は、主税を見向きもしないで、悠々とした調子になり、 「そりゃ可い事をした、泥水稼業を留めた....
親子」より 著者:有島武郎
い早田」 老人は今は眼の下に見わたされる自分の領地の一区域を眺めまわしながら、見向きもせずに監督の名を呼んだ。 「ここには何戸はいっているのか」 「崕地に残し....
妖僧記」より 著者:泉鏡花
るとも覚しきに、慾にも一歩を移し得で、あわれ立竦になりける時、二点の蛍光|此方を見向き、一喝して、「何者ぞ。」掉冠れる蝦蟇法師の杖の下に老媼は阿呀と蹲踞りぬ。 ....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
しまいにゃあ泣声で、(私には出来ません、先生々々。)と呼ぶと、顔も動さなけりゃ、見向きもしないで、(遣ってみるです。)というッきりで、取附島も何にもないと。それ....
琵琶伝」より 著者:泉鏡花
を左右に傾けおれり。一室|寂たることしばしなりし、謙三郎はその清秀なる面に鸚鵡を見向きて、太く物案ずる状なりしが、憂うるごとく、危むごとく、はた人に憚ることある....
世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
て、大理石にも、青銅にも、また永遠の美の宿っていた彼の霊妙なる作品にも、まったく見向きもしなくなった。彼の友達らは彼に以前のような仕事に対する熱情を喚起させよう....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
向きたるわが顔をば見し。打微笑みしまま未だものいわざるにソト頬摺す。われは舞台に見向きぬ。 背後見らるる心地もしつ。 ややありて吸競べたる膏薬練の、西なる方....
誓之巻」より 著者:泉鏡花
きましたっけねえ、新さん。」 とミリヤアドの顔嬉しげに打まもりつつ、高津は予を見向きていう。ミリヤアドの容体はおもいしより安らかにて、夏の半一|度その健康を復....
式部小路」より 著者:泉鏡花
の私ンでございますよ、ほほほほ、」 と女房も寂しい微笑。 愛吉心着いて其方を見向き、 「ええ、さようで。へへへへへ、先刻はどうも、」 とそれもこれも弱った....