見向きもしない[語句情報] » 見向きもしない

「見向きもしない〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

見向きもしないの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
費にあてる名儀で某々が保管する事になった。そんな勝手放題なまねをされるのを葉子は見向きもしないで黙っていた。もし葉子が素直《すなお》な女だったら、かえって食い残....
或る女」より 著者:有島武郎
ぬ》を裂くように疳癖《かんぺき》らしい調子になっていた。別室に妹の駆け込んだのを見向きもしない愛子の不人情さを憤る怒りと、命ぜられた事を中途|半端《はんぱ》でや....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
叫ばれた。 一刻の暇もない農繁の真最中に馬市が市街地に立った。普段ならば人々は見向きもしないのだが、畑作をなげてしまった農夫らは、捨鉢《すてばち》な気分になっ....
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
って、女の白い腕に縋《すが》り付いたかもしれなかった。しかし藻に似た女はこちらを見向きもしないで、なにか笑いながらそばの男にささやくと、男は草の葉で編んだ冠《か....
高野聖」より 著者:泉鏡花
ゃりませ。)とまた一ツ背中を叩《たた》いた、親仁《おやじ》は鯉を提《さ》げたまま見向きもしないで、山路《やまじ》を上《かみ》の方。 見送ると小さくなって、一座....
婦系図」より 著者:泉鏡花
優しげな睫毛が、(どうかなさいよ。)と、主税の顔へ目配せする。 酒井は、主税を見向きもしないで、悠々とした調子になり、 「そりゃ可い事をした、泥水稼業を留めた....
爬虫館事件」より 著者:海野十三
とい自分の口が裂けようと呑みこみますが、死んでいるものはどんなうまそうなものでも見向きもしないという美食家です。ここでは主に生きた鶏や山羊を食わせています。貴方....
三人の双生児」より 著者:海野十三
にしても、またそれを云いつけた妾の母にしてもが、折角持ってきてやったものを殆んど見向きもしないで、ただ妾が、 「いいカンカンでしょ、ばア……」 と同じことをや....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
か宏壮で、そこらを往来している人物もみな立派にみえますが、どの人もやはりこちらを見向きもしないので、ますます奥深く進んでゆくと、その王宮では今や饗宴の最中らしく....
共軛回転弾」より 著者:海野十三
らない。チーア卿が開け放しにしていった大金庫の前を幾度か行き過ぎるが、その方には見向きもしない。 そこへ鉛華が入って来た。 「先生、町に素敵な燻製料理を売って....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
しまいにゃあ泣声で、(私には出来ません、先生々々。)と呼ぶと、顔も動さなけりゃ、見向きもしないで、(遣ってみるです。)というッきりで、取附島も何にもないと。それ....
花束の虫」より 著者:大阪圭吉
さいな」 そう言って若い女は、媚を含んだ視線をチラッと大月へ投げると、秋田には見向きもしないで、到頭その儘出て行って了った。 大月は自分の椅子へ腰を下ろすと....
人体解剖を看るの記」より 著者:海野十三
を迎えるために、車のついた白い台が再び入口から入って来た。解剖医はもうその方には見向きもしないで、洋服の上衣に腕をとおしていた。―― こうして解剖は終った。 ....
透明人間」より 著者:ウェルズハーバート・ジョージ
と、おどけた返事がかえってくるのに、おじさんはステッキをふりまわして、女の子には見向きもしないで、通りすぎたというのだ。 「おじさん、なにしてるの?」 女の子....
」より 著者:岡本かの子
ていつもの通り蓑吉の小さい耳のほとりで挨拶した。本に気を取られている蓑吉はお咲に見向きもしないでそのまま本に気をとられている様子だった。だが、室子の母親が出て来....