見回し[語句情報] » 見回し

「見回し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

見回しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
。 「何がうそじゃ。何がうそじゃよ。」 彼は、目を大きくして、あたりをしきりに見回しながら、逃げ場はないかと気をあせった。額には、つめたい汗がわいて来る。手も....
或る女」より 著者:有島武郎
に曲がろうとしてふと道ばたの捨て石にけつまずいて、はっと目がさめたようにあたりを見回した。やはり二十五の葉子である。いゝえ昔たしかに一度けつまずいた事があった。....
或る女」より 著者:有島武郎
くばかりながめられた。こここそは屈強の避難所だというように葉子はつくづくあたりを見回した。そして部屋《へや》のすみにある生漆《きうるし》を塗った桑の広蓋《ひろぶ....
蘭学事始」より 著者:菊池寛
《あした》早天に、山谷町出口の茶屋で待ち合わすことにいたそう」 淳庵は、座中を見回していった。一座は、すぐそれに同意した。 その時に、玄白の頭の中に、ふと良....
船医の立場」より 著者:菊池寛
のために動いたことは確からしかった。彼は、やや青みがかっている顔を上げて、一座を見回した。 「ほかに意見はありませんか。ウィリアムス君! ワトソン君?」 その....
若杉裁判長」より 著者:菊池寛
しました。すると、その男は、鳥居の下まで来て、足を止めたかと思うと、一度あたりを見回してから、夜目にもしるきその新聞包みをそっと取り上げたではありませんか。柔道....
奈々子」より 著者:伊藤左千夫
出てきた。二坪にも足らない小池のまわり、七度も八度も提灯を照らし回って、くまなく見回したけれども、下駄も浮いていず、そのほか亡き人の物らしいもの何一つ見当たらな....
仇討禁止令」より 著者:菊池寛
る。しかし、それは、我々が一命を賭しての非常手段じゃ」甚之助は、そういって一座を見回した。 「非常手段、結構! お話しなされ」主人の小泉がいった。 甚之助は、....
仇討三態」より 著者:菊池寛
念の炎を制しながら、薪束を作っていた。彼は不足している薪を集めようとして、周囲を見回した。四、五間かなたに生えている榧の木の向うに、伐られたその枝が、うず高く積....
義民甚兵衛」より 著者:菊池寛
着物を着ている。憔悴している。右脚はなはだしく短く、ちんばを引く。ひそかに周囲を見回したる後、台所に忍び寄り、鍋の蓋を開け、まだ半煮えの大根を、がつがつ貪り食う....
俊寛」より 著者:菊池寛
渇きと、全身を砕くような疼痛を感じた。 彼は、水を飲みたいと思いながら、周囲を見回した。が、岸壁の背後は、すぐ磽※な山になっているらしく、小川とか泉とかが、あ....
燕と王子」より 著者:有島武郎
ちの用意をしていますと、どこかで「燕、燕」と自分をよぶ声がします。はてなと思って見回しましたがだれも近くにいる様子はないから羽をのばそうとしますと、また同じよう....
月世界跋渉記」より 著者:江見水蔭
が残っていたんだ。」といいながら又懐中|洋燈を点じてそれを高く翳して隈なく四辺を見回した。 一行のいる処は八畳敷ほどの処であるが、その横に一間四方ほどの洞があ....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
さいということで、一体この今の言葉は誰人が誰に話しかけたのかと、怪しんであたりを見回しますと誰も居らない。ただ夕陽が法林の樹枝に映って美しき緑光が放って居るばか....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
彼らの才能を正当に鑑識してくれる親分へ身を捧げようと思うにいたった。彼らは周囲を見回した。そしてエセックスがはっきり選ばれたのである。エセックス伯は若く、能動的....