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「見始め〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

見始めの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
短所も無自覚でいるような、そのくせどこかに鋭い光のある目をあげてまじまじと葉子を見始めた。 「何より先にお礼。ありがとうございました妹たちを。おととい二人でここ....
南島譚」より 著者:中島敦
に生き生きと若返ったのである。 丁度哀れな醜い独身者の下僕が斯《こ》うした夢を見始めた頃から、一方、彼の主人たる富める大長老も亦《また》奇態な夢を見るようにな....
虞美人草」より 著者:夏目漱石
さんは返事をする代りに、売店に陳《なら》べてある、抹茶茶碗《まっちゃぢゃわん》を見始めた。土を捏《こ》ねて手造りにしたものか、棚三段を尽くして、あるものはことご....
行人」より 著者:夏目漱石
か」 下女は何とも云わずに笑っていた。嫂《あによめ》も暗い方から電灯をまともに見始めた。 「姉さんどうします」 「どうしますって、妾《あたし》女だからどうして....
明暗」より 著者:夏目漱石
懐へしまうと、今度は飲みながら、じろりじろりと他《ほか》の客を、見ないようにして見始めた。その相間《あいま》相間には、ちんちくりんな外套《がいとう》の羽根の下か....
縫子」より 著者:宮本百合子
ているでしょう皆さん」 と云いながら台処へ立った。 英輔は側にあった婦人画報を見始めた。登美が一緒に覗いた。 「英兄さんどんな人がすき?」 「さあね、どれもす....
日は輝けり」より 著者:宮本百合子
、さっさと飯をしまった。そして隅の方へよって、揉みくちゃになって放ってある新聞を見始めた。けれども、実は見る振りをしたのである。字をたどりながら、彼の頭は、酒の....
旅愁」より 著者:横光利一
そのまま立ち停っていつまでも白鳥の群れを眺めるのだった。 「白鳥の巣なんてあたし見始めよ。でも、真黒に見えるのね。」 と、千鶴子はささやくように耳もとで云った....
「母の膝の上に」(紹介並短評)」より 著者:宮本百合子
達を自分で見て行く決心をしたのです。彼女は、女性の理屈のない執着強さ、一つものを見始めると傍を見られない偏狭さを日頃から嫌っていました。彼女にとって職業を持つこ....
現代唯物論講話」より 著者:戸坂潤
制や統制と考えなければならなくなったのも、実はこうした自由な個人の立場から社会を見始めた結果の一つに他ならなかった。そこで文化も亦、個人の個人生活の表現という意....
茨海小学校」より 著者:宮沢賢治
にしょってじっとしていましたがみんながばたばた鉛筆《えんぴつ》を置いて先生の方を見始めますと、又講義をつづけました。 「そこで今の『正直は最良の方便』という格言....
千世子」より 著者:宮本百合子
う?」 千世子はこんな事を思って顔色一つ動かせず落ついたおだやかな心でそれを見始めた。 「いかにも恋文らしい恋文」千世子は自分より三つも年上の男がよこしたも....
なよたけ」より 著者:加藤道夫
るとおっしゃるのですか? 竹取翁 かぐやを愛し始める。……と、その時から人は夢を見始めるのじゃ、……儂だって、この両の眼で何度あれの美しい姿を見たか知りませぬ。....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
恵まれなかった。わたしが舞台以外で五代目菊五郎という人と向かい合ったのは、これが見始めの見納めとなった。それだけにこの「筆売幸兵衛」という狂言は、わたしに取って....