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「見守り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

見守りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
何物かが燃え立っている。震《ふる》える肩、濡れた睫毛《まつげ》、――男はそれらを見守りながら、現在の気もちとは没交渉に、一瞬間妻の美しさを感じた。 「ですけれど....
報恩記」より 著者:芥川竜之介
あまかわじんない》ですよ。」 わたしは呆気《あっけ》にとられたまま、甚内の姿を見守りました。甚内は今夜も南蛮頭巾《なんばんずきん》に、袈裟法衣《けさころも》を....
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
を躱《かわ》しましたが、なぜかそこに足を止めて、じっと平太夫《へいだゆう》の姿を見守りました。が、あの老爺《おやじ》はとんとそれに頓着する容子《ようす》もなく、....
藪の中」より 著者:芥川竜之介
しば》られているだけです。わたしは竹の落葉の上に、やっと体を起したなり、夫の顔を見守りました。が、夫の眼の色は、少しもさっきと変りません。やはり冷たい蔑《さげす....
或る女」より 著者:有島武郎
ださるに違いないと。なぜなれば、僕は誓います。――主《しゅ》よこの僕《しもべ》を見守りたまえ――僕はあなたを愛して以来断じて他の異性に心を動かさなかった事を。こ....
人造人間殺害事件」より 著者:海野十三
びすじ》に、可憐《かれん》な生毛《うぶげ》の震《ふる》えているのを、何とはなしに見守りながら、この厄介者《やっかいもの》から、どうして巧くのがれたものかと思案《....
親子」より 著者:有島武郎
の人たちの跫音がだんだん遠ざかって行った。熱心に帳簿のページを繰っている父の姿を見守りながら、恐らく父には聞こえていないであろうその跫音を彼は聞き送っていた。彼....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
は、忙しく数字を怒鳴っていた。砲術長は、高声器から、射撃命令を受けとると腕時計を見守りながら電気発火装置の主桿を、ぐッと握りしめた。 (もうあと、五秒、四秒、三....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
いか、いや一同泰然として死ぬのがよいのであろう。わが祖先の諸霊も、われらの殉難を見守り給え。われらが万一卑怯なる心を持たんとしたるときには叱責し、且つ激励をなし....
三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
に涙が流れると、弟の大きい眼にも露が宿る。もうこの世の人ではないような母の寝顔を見守りながら、運のわるい姉弟はその夜を泣き明かしました。芝居ならば、どうしてもチ....
爆薬の花籠」より 著者:海野十三
ニーナとワイコフ医師とは、いくたびか、その広間へ下りてきて、親切にも、黒川を見守り、そしてまた房枝をなぐさめた。師父ターネフだけは、寝室へはいったらしく、は....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
ざいましたか?』 『俺は実はそなたの声で眼を覚ましたのじゃ。』と良人はじっと私を見守り乍らポツリポツリ語り出しました。『そなたも知る通り、俺は自尽して果てたのじ....
荘子」より 著者:岡本かの子
う返答を申しますでは御座いませんか。わたくしがすこしあきれて、へえ、と思わず顔を見守りますと「道」はどこにでもありそうだ。「道」の無いところはないのだ。「道」は....
赤い魚と子供」より 著者:小川未明
、食べてはなりませんのですか。」と聞きました。 母親は、思案顔をして、子供らを見守りながら、 「昔から、花を食べてはいけないといわれています。あれを食べると、....
青い風呂敷包」より 著者:大倉燁子
は百合子はもうぐったりとなって、彼の腕の中に倒れていたんです。その死顔をぼんやり見守りながら、今こそ、彼女は完全に自分のものだ、と思うと、何とも知れぬ嬉しさに胸....