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見廻し
「見廻し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
見廻しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「英雄の器」より 著者:芥川竜之介
ことなく、枯れた木の葉の匂《におい》がする。
「しかしです。」呂馬通は一同の顔を
見廻して、さも「しかし」らしく、眼《ま》ばたきを一つした。
「しかし、英雄の器《....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
湯が爪の先にしみこむのを感じながら、長い呼吸《いき》をして、おもむろに風呂の中を
見廻した。うす暗い中に浮んでいる頭の数は、七つ八つもあろうか。それが皆話しをした....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
ざいます。私は強いて心を押し鎮めながら、風俗画報を下へ置いて、きょろきょろ店先を
見廻しました。店先ではちょうど小僧が吊《つり》ランプへ火をとぼして、夕暗の流れて....
「報恩記」より 著者:芥川竜之介
ちょう》ほど逃げ延びると、わたしはある軒下《のきした》に隠れながら、往来の前後を
見廻しました。往来には夜目にも白々《しろじろ》と、時々雪煙りが揚《あが》るほかに....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
《ハンケチ》を出して、つつましく鼻をかみながら、もう暮色を帯び出した陳列室の中を
見廻して、静にまた話を続け始めた。
「もっともこの問題はいずれにせよ、とにかく珍....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
橋《みろくじばし》の袂《たもと》へ来ると、お蓮はやっと足を止めて、茫然とあたりを
見廻したそうだ。あすこには河岸《かし》へ曲った所に、植木屋ばかりが続いている。ど....
「魔術」より 著者:芥川竜之介
は椅子《いす》に腰かけてから、うす暗い石油ランプの光に照された、陰気な部屋の中を
見廻しました。
ミスラ君の部屋は質素な西洋間で、まん中にテエブルが一つ、壁側《....
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
待ちかまえていたのである。
しかし毛利先生は、「諸君」と云ったまま、教室の中を
見廻して、しばらくは何とも口を開かない。肉のたるんだ先生の顔には、悠然たる微笑の....
「貉」より 著者:芥川竜之介
て見た。が、外はうすい月と浪の音ばかりで、男の姿はどこにもない。娘は暫くあたりを
見廻していたが、突然つめたい春の夜風にでも吹かれたように、頬《ほお》をおさえなが....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
動かしながら、日にやけた頬の筋肉を、今にも笑い出しそうに動かして、万遍なく一座を
見廻した。これにつれて、書物を読んでいたのも、筆を動かしていたのも、皆それぞれ挨....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
しそうな視線を挙げて、無言の答を求めるように、おずおず周囲に立っている若者たちを
見廻した。が、大勢の若者たちは麗《うら》らかな日の光を浴びて、いずれも黙念《もく....
「少年」より 著者:芥川竜之介
の曲芸を演じている。と思うと肩の上へ目白《めじろ》押しに並んだ五六人も乗客の顔を
見廻しながら、天国の常談《じょうだん》を云い合っている。おや、一人の小天使は耳の....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
に武者窓へふきつけている。林右衛門は、その風の中に立って、もう一応、往来の右左を
見廻した。そうして、それから槍で、一同に左へ行けと相図をした。
二 ....
「運」より 著者:芥川竜之介
わちょうし》なもの言いをして、下唇を舐《な》めながら、きょろきょろ、仕事場の中を
見廻した。――竹藪《たけやぶ》を後《うしろ》にして建てた、藁葺《わらぶ》きのあば....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
た遠藤も、さすがに胆をひしがれたのでしょう、ちょいとの間は不思議そうに、あたりを
見廻していましたが、忽ち又勇気をとり直すと、 「魔法使め」と罵りながら、虎のよう....