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見廻す
「見廻す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
見廻すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
識を恢復した。彼の耳には神々の声が、未だに鳴り響いているようだった。が、あたりを
見廻すと、人音《ひとおと》も聞えない内陣《ないじん》には、円天井《まるてんじょう....
「魔術」より 著者:芥川竜之介
くような、寂しいざんざ降《ぶ》りの音を立て始めました。
ふと気がついてあたりを
見廻すと、私はまだうす暗い石油ランプの光を浴びながら、まるであの骨牌《かるた》の....
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
、毛利先生はそう云うと同時に、また哀願するような眼つきをして、ぐるりと教室の中を
見廻すと、それぎりで急に椅子《いす》の上へ弾機《バネ》がはずれたように腰を下した....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
》の金鎖《きんぐさり》を太い指にからめていたが、やがて電燈に照らされた三人の顔を
見廻すと、
「戸沢《とざわ》さんとか云う、――かかりつけの医者は御呼び下すったで....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
その姿を見るや否や、死人のような色になって、しばらくただ狭い家の中をきょろきょろ
見廻すよりほかはなかった。素戔嗚は荒々しく若者の前へ歩み寄ると、じっと彼の顔を睨....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
さて次の間へ通った新蔵は、遠慮なく座蒲団を膝へ敷いて、横柄《おうへい》にあたりを
見廻すと、部屋は想像していた通り、天井も柱も煤の色をした、見すぼらしい八畳でした....
「溺れかけた兄妹」より 著者:有島武郎
何所《どこ》に行ってしまったのだろうと思って、私は若者のそばに立ちながらあたりを
見廻すと、遥かな砂山の所をお婆様《ばあさま》を助けながら駈け下りて来るのでした。....
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
もできた。二回目には自分は最後に廻った。ことごとく人々を先に出しやって一渡り後を
見廻すと、八升入の牛乳鑵が二つバケツが三箇残ってある。これは明日に入用の品である....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
撫でて)や、西瓜と云えば、内に甜瓜でもありますまいか。――茶店でもない様子――(
見廻す。) 片山家の暮れ行く風情、茅屋の低き納戸の障子に灯影映る。 学円 この上....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
」 「は。」 とお貞は起ちたるが、不意に顛倒して、起ちつ、居つ。うろうろ四辺を
見廻す間に、時彦は土間に立ちたるまま、粛然として帯の間より、懐中時計を取出し、丁....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
がごとし。 二十七 島野は持余した様子で、苦り切って、ただ四辺を
見廻すばかり。多磨太は藁草履の片足を脱いで、砂だらけなので毛脛を擦った。 「蚋が....
「醜い家鴨の子」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
るとみんな一生懸命、グワッ、グワッと真似をして、それから、あたりの青い大きな葉を
見廻すのでした。 「まあ、世界ってずいぶん広いもんだねえ。」 と、子家鴨達は、今....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
誰方だい。」 作平のよぼけた後姿を見失った五助は、目の行くさきも薄暗いが、さて
見廻すと居廻はなおのことで、もう点灯頃。 物の色は分るが、思いなしか陰気でなら....
「活人形」より 著者:泉鏡花
八蔵は銀平と知らざる人のごとくに見せ、その身は上口に腰打懸け、四辺をきょろきょろ
見廻すは、もしや婦人を尋ねにかと得右衛門も油断せず、顔打守りて、「貴方は御泊では....
「罪人」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
となしく椅子に腰を掛ける。居ずまいを直す。そして何事とも分からぬらしく、あたりを
見廻す。この時熱を煩っているように忙しい為事が始まる。白い革紐は、腰を掛けている....