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見忘れる
「見忘れる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
見忘れるの前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
木部孤※《きべこきょう》だった。
帽子の下に隠れているせいか、その顔はちょっと
見忘れるくらい年がいっていた。そして服装からも、様子からも、落魄《らくはく》とい....
「冥土行進曲」より 著者:夢野久作
学士の蔭に隠れた。 「アハハハ。貴方も馴染甲斐のない人ですね。アダリーさんの顔を
見忘れるなんて……しかしアダリーさんも……むろん私も……お話を聞いて感心しました....
「若き時代の道」より 著者:宮本百合子
代に影響される面をとりあげるが、その自分が時代をつくりつつあるという重大な意味を
見忘れるのは何故であろう。明日の歴史を書きつつあるものこそは、今日の生きてであり....
「松の操美人の生埋」より 著者:三遊亭円朝
十五六の時分に逢った切りで、それから三年振で今日逢うと、一寸見ては話も出来ない位
見忘れる様に大きく成ったのう、人の噂に大層働きの好い芸者になったとは聞いたが、お....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
ありませんが、いかにも知的な、体格のよい女でした。身体つきや顔に特徴があるので、
見忘れることはありませんが、あの教会では、ついぞ見かけたことのない婦人です」 ....
「魔像」より 著者:林不忘
ア情ねえ。なさけねえ。いくら狂っているからって、現在てめえの兄貴ともあろうものを
見忘れるなんて――」 いきなり三次は、手を伸ばしてお妙を引き寄せようとした。 ....
「墓地展望亭」より 著者:久生十蘭
(女王は、おれを、忘れている) あのようなこまやかな「時」のあとで、その相手を
見忘れるなどということがあるべきはずはない。……しかし女王の顔は、初見の人を眺め....
「つづれ烏羽玉」より 著者:林不忘
。 女はにっこりした。男はぴったりと寄りそって、 「なあ、おきんさんがおいらを
見忘れるわけはあるめえ。何とかいいねえな」 「でも――」 「なに?」 「いやだよ....
「民芸とは何か」より 著者:柳宗悦
しいのではないのです。美しいから茶器になり得たのです。茶器でないために他の民器を
見忘れる如きは、見方に力がないしるしなのです。茶祖は全く茶器でないものから、茶器....
「三国志」より 著者:吉川英治
慇懃にいった。 「豪傑。失礼はむしろ私のほうこそ咎めらるべきです。恩人のあなたを
見忘れるなどということは、たとえいかに当時とお変りになっているにせよ、相済まない....