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見据える
「見据える〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
見据えるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
までも、それを承りまするに就いて、このな、胸が轟くでごわりまするが、」 と熟と
見据えると、酒井は半ば目を閉じながら、 「他ならぬ先生の御口添じゃあるし、伺った....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
には、今や、ささやきさえ聴えなくなってしまった。人々は固唾《かたず》をのみ、瞳を
見据えるようにして、見入りつづけるのだった。
その幕がしまると、人々の咽喉《の....
「昔の火事」より 著者:宮本百合子
家へ戻るとセキが、声をひそめて、お父さん、何だったね、とよって来た。猛之介は例の
見据えるような見かたで女房を顧みながら、何か研究で、穴を掘るんだとよ。樫の木の下....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
隣の魂まで叩き潰しはしないかと思われた。かと思うと天眼をもって闘士の行動をじっと
見据える。 (「大阪朝日新聞」昭和五年八月) 真夏の言葉 夏服で神戸を散....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
頭を上げたけれども、いつものように勇猛の威勢あるムク犬ではありません。二人を
見据える眼の力さえ、ややもすれば眠りに落つるような元気のないものであります。 「....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
高祖頭巾の女の方では、さいぜんから、ちゃんと心得たもので、頭巾の中からお角の面を
見据えるようにしていましたので、お角もなんだか気味が悪く思いました。 「おや、あ....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
夫人は山の姿も見ず、松も見ず、松の梢に寄る浪の、沖の景色にも目は遣らず、瞳を恍惚
見据えるまで、一心に車夫部屋の灯を、遥に、船の夢の、燈台と力にしつつ、手を遣ると....
「ほととぎす」より 著者:堀辰雄
それは見たいな」と殿はしかし上機嫌そうに仰《おっし》ゃって、それからふと私の顔を
見据えるように「一体、誰の子なのだい?」と小声になって訊かれたが、私が相変らず笑....
「菜穂子」より 著者:堀辰雄
どうか試めすようにお前の顔を見た。お前は相変らずぱちぱち音を立てて燃えている薪を
見据えるようにしながら、しかもそれを見ていないような、空虚な目ざしで自分の前方を....
「楡の家」より 著者:堀辰雄
試《ため》すようにお前の顔を見た。お前は相変らずぱちぱち音を立てて燃えている薪を
見据えるようにしながら、しかもそれを見ていないような、空虚な目ざしで自分の前方を....
「蠱惑」より 著者:豊島与志雄
を持っている。その眼には妙に青い冷たい光りがある。彼はその眼でじっと一つ一つ物を
見据える。その時彼の眼と見られた物との間には、一種の無形の強い連鎖が生ずる。そし....
「反抗」より 著者:豊島与志雄
も知れないお清とこうして戯れてることが、頭の奥に恐ろしい閃きとなって映った。眼を
見据えると、お清は卓子の端につかまって立ちながら、こちらをじっと見ていた。前髪の....
「霊感」より 著者:豊島与志雄
後に、「宝塔偈」と「発願」とを誦し終りました。 A女は江口さんの方へ向き直り、
見据えるようにしていました。 「ミロクというかた、御存じですか。」 江口さんは....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
の、ほかの世話はかまいませんけど、媒妁だけは、もう止してね。」 と、眉が迫って
見据えるのです。 「媒妁?」 「――名はいいますまい、売ッ子ですよ。私たちのお弟....
「港の妖婦」より 著者:田中貢太郎
、洋服の男が顔をあげた。洋服の男は女の顔を見ると驚いたような眼をして、じっと眼を
見据えるようにしたが、いきなり飛びあがるように起ちあがった。 「おい、天華じゃな....