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見晴す
「見晴す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
見晴すの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「心の河」より 著者:宮本百合子
沖の小島に波のよる見ゆ という歌を思い出した。自分達の生活が、この沖の小島を
見晴すように、一点遙に情を湛え、広々と明るい全景の裡に小さく浮んでいるようで、さ....
「牡丹」より 著者:宮本百合子
がよくなったな、何だろうあれは……箇人の住宅にしちゃ広すぎるな」 幸雄は、遠く
見晴す丘の裾に青い屋根の洋館がポツリと建っている方に目をやったが何とも返事しなか....
「ズラかった信吉」より 著者:宮本百合子
だけだ。 あんなちょっとの間にハグレたんだろうか。半信半疑だ。 信吉は、河を
見晴すベンチの一つへ腰をおろした。 もう水泳場は閉められて、飛込台の頂上にポツ....
「突堤」より 著者:宮本百合子
三で、だんだんその弟たちも、夏はおばあさんのところで暮すようになった。 連山を
見晴す風通しのいい茶の間で三人の孫がチャブ台をとりまき、盛りあげた飯の上に枝豆を....
「海流」より 著者:宮本百合子
客は一切よそですることにしたと云い渡した。それが去年ごろのことである。高輪の海を
見晴す芝生のある家は四人の子供らと、それ以来益々感情をもつれさせたさわ子との生活....
「伸子」より 著者:宮本百合子
の部屋部屋から遮断されていた。袋のようなたった一つの出入口を閉め切ると、前の庭を
見晴すだけで、一日人に会わずに暮せた。伸子が佃と 〔te^te-a`-te^te....
「追想」より 著者:宮本百合子
で買ってあげたい、一円以上三円位まで御送り下さい、というのである。 広い耕地を
見晴す縁側の柱の下に坐り、自分は、幾度も、幾度も繰返して文面を見た。第一、なくな....
「九月の或る日」より 著者:宮本百合子
よかったわね」 「よかった」 「ああこの家なんですか……」 私共はすぐ前に河を
見晴す座敷に通った。 「――よござんすね」 Yは網野さんの褒め言葉に上機嫌であ....
「上林からの手紙」より 著者:宮本百合子
風の音まで、いかにもさやかな秋という工合になった。 山の茶屋の二階からずうっと
見晴すと、遠い山襞が珍しくはっきり見え、千曲川の上流に架っているコンクリートの橋....
「或る日」より 著者:宮本百合子
、新しい家の塗料の微かな匂いと花の呼吸《いき》するほのかな香とが、冬枯れた戸外を
見晴す広縁に漂った。〔一九二五年五月〕....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
で写真をとり、大さわぎでした。あなたにお目にかけるために。七日に、背戸《せど》を
見晴すガラス戸が出来上り、大満足です。二尺三寸の一枚ガラスをはめたから雨の日も外....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
活を駄目《だめ》にしてしまったんです、誓いにそむいたんです!……」 二人は町を
見晴す丘に上りかけていた。ゴットフリートはやさしく言った。 「そんなことはこんど....
「江戸芸術論」より 著者:永井荷風
立てる坂の上より下町《したまち》の人家と芝浦《しばうら》の帆影《はんえい》までを
見晴す大空には忽然《こつぜん》大きなる虹|斜《ななめ》に勇ましく現はれ出《いで》....
「銀座」より 著者:永井荷風
れを越して霞《かすみ》ヶ|関《せき》、日比谷《ひびや》、丸《まる》の内《うち》を
見晴す景色と、芝公園《しばこうえん》の森に対して品川湾《しながわわん》の一部と、....