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見知り越し
「見知り越し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
見知り越しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妙な話」より 著者:芥川竜之介
千枝子は咄嗟《とっさ》にふり返って見たが、後には赤帽も何もいない。いるのはこれも
見知り越しの、海軍将校の夫妻だけだった。無論この夫妻が唐突《とうとつ》とそんな事....
「或る女」より 著者:有島武郎
ルの握りに手を乗せていながら、葉子にはその貴婦人たちの中の一人《ひとり》がどうも
見知り越しの人らしく感ぜられた。あるいは女学校にいた時に葉子を崇拝してその風俗を....
「身投げ救助業」より 著者:菊池寛
つくと、あわてて前を掻き合せたが、胸のうちは怒りと恥とで燃えているようであった。
見知り越しの巡査は「助ける側のお前が自分でやったら困るなあ」というた。老婆はそれ....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
知らず知らず、なお低くうなだれてしまった。そして君は疑わしそうな目を時々上げて、
見知り越しの顔にでもあいはしないかと気づかった。しかしこの界隈はもう静まり返って....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
年の三月十八日、救世主のエルサレム入城を記念する棕櫚の安息日の朝の事。 数多い
見知り越しの男たちの中で如何いう訳か三人だけがつぎつぎにクララの夢に現れた。その....
「赤耀館事件の真相」より 著者:海野十三
階だての塔のような建物がありますが、それがそのホテルなのです。入って行きますと、
見知り越しの尾形警部が、いまにも仆れそうな青い顔をして、百合子を迎えましたが、す....
「柿色の紙風船」より 著者:海野十三
獄の使者だろうと直感した。 (オヤ)私は心の中で訝った。二人の客のうちの一人は、
見知り越しの医務長だった。もう一人は、日焼けのした背の高いスポーツマンのような男....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
らぬ江戸名物の退屈男が久方ぶりに帰って来たのであるから、眉間の三日月傷でその顔を
見知り越しの駕籠人足共が、わが駕籠に乗せているのを自慢顔に、しきりと景気よく怒鳴....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
かりのいかつい大小腰にした木綿袴のひと組です。たいこもちとは同じ連れか、でなくば
見知り越しらしい話工合でした。 「何じゃ。三平。こやつら何をしたのじゃ」 「いい....
「火葬国風景」より 著者:海野十三
めたのは、棺の外の風景だった。 そこには数人の男女が立っていた。その中で、顔の
見知り越しな男が二人あった。一人は云わずと知れた鼠谷仙四郎だった。彼をここまで連....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
なかった。ミチミは何処かへ、難をさけたのであろう。 立て札もなければ、あたりに
見知り越しの近所の人も見えない。 彼はこの上、どうしてよいのか分らなかった。 ....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
に抱えられていた。まだ昼前なので遠くの街から集まって来た人達より踊り手には近所の
見知り越しの人が多かった。それ等の中には革のエプロンの仕事着のまゝで買物包みを下....
「錦紗」より 著者:犬田卯
の中まで掻き分けた。 「何だか、そんなとこで……」とわざわざ自転車を下りて訊ねる
見知り越しの人もあった。 「蟇口失くしたんだ」と彼女は判然と答えるのであった。 ....
「荒蕪地」より 著者:犬田卯
信のもとに、わざと若旦那の暇そうな正午頃を見計らって出かけたのであったが、やはり
見知り越しの手代が出て来て、「あ、そこのことなら……」との挨拶。しかし儀作は、あ....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
さようなら。」と此方で帽子を振った。 イワンは一寸と顔を赤くした。そうして特に
見知り越しの私たちの眼と眼とぶつかると、莞爾として片手をあげた。 「さようなら。....