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「見越し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

見越しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
兎《と》に角《かく》小ぢんまりと出来上った、奥床しい門構えの家だった。殊に近頃は見越しの松に雪よけの縄がかかったり、玄関の前に敷いた枯れ松葉に藪柑子《やぶこうじ....
」より 著者:芥川竜之介
のかぶる帽子さ。」 しかし従兄の弟は従兄以上に「仕事師」だけにいろいろの障害を見越していた。 「何しろこの間も兄貴《あにき》の友だちなどは××新聞の社会部の記....
婦系図」より 著者:泉鏡花
が、こなたに人の居るは知れたろう。 振返って、額の広い、鼻筋の通った顔で、屹と見越した、目が光って、そのまま悠々と路地を町へ。――勿論勝手口は通らぬのである。....
三人の双生児」より 著者:海野十三
ろん想像していたとおり、この家に潜伏していた女史は、酔っている真一が水を呑むのを見越して、水瓶の中にその毒薬を入れて置いたのだ。女史が事件後、真先にその水を明け....
渾沌未分」より 著者:岡本かの子
思い切った偽悪者になることも、小初はよく下町で見受けている例である。貝原もそれを見越して父に安心しているのではないか。案外もろく父もそこに陥ちいらぬとも限らない....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
片付けてしまうので、折角いい籤をひき当てても結局有名無実に終ることが多い。それを見越して、たくさんの景品のうちにはいかさま物もならべてある。羊羹とみせかけて、実....
青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
ど思い当ることがある。半年前の扇子の時にも、今度の鎧の問題にも、妻はいつでも先を見越したようなことを言って自分を慰めてくれる。それがどうもおかしい。たしかに不思....
海神別荘」より 著者:泉鏡花
でも、約束の女を寄越せと、海坊主のような黒い人が、夜ごと夜ごと天井を覗き、屏風を見越し、壁|襖に立って、責めわたり、催促をなさいます。今更、家蔵に替えましたッて....
半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
車は通らないぜ。」「もっとも半月の上になりますから。」と運転手は一筋路を山の根へ見越して、やや反った。「半月の上だって落着いている処じゃないぜ。……いや、もうち....
第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
白粉のその頸を、ぬいと出額の下の、小慧しげに、世智辛く光る金壺眼で、じろりと見越して、 「今晩は。誰方様で?」 「お宅に染次ってのは居りますか。」 「はい居....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
まも早かったな。」というと、 「坂下の姉さま、御苦労にござるわや。」と手水鉢から見越して言った。 銀の目をじろじろと、 「さあ、手を貸され、連れて行にましょ。....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
も何かの機縁になって、他日良果を結ぶことでもあればなんぞと、当にもならぬ先の先を見越して空頼みしていることもあるのである。 現に外国文化の影響は今日の食制の上....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
少し病身らしいけれども、洋服を着た若い人で、髪を長くしたのが。」 と、顔を斜に見越しながら、 「貴方なんぞも遣りそうな柄だわね、髪を長く……ほほほ、遣った事が....
穂高岳槍ヶ岳縦走記」より 著者:鵜殿正雄
時下山し、殺生小屋を過ぎ、二十分で坊主小屋、屋上には、開山の播隆上人の碑、それを見越して上は、先きに吾々の踏まえていた大槍、今は頭上をうんと押さえつけて来る、恐....
」より 著者:織田作之助
兼の眼鏡にかなうに充分であった。連れ子のあることは、安二郎に子供の出来ないことを見越して、あらかじめ勘定にはいっていた。お兼は放蕩者の安二郎には自分の子を養子に....