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「見較べる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

見較べるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
白妖」より 著者:大阪圭吉
た様子だ。バタバタ音がして、事務所のほうからもう一人の男が出て来た。紳士は二人を見較べるようにしながら、重々しい調子で云った。 「――僕は、刑事弁護士の大月とい....
寒の夜晴れ」より 著者:大阪圭吉
ると、すぐに気をとり直して境の扉口へ恐る恐る爪先立ちに歩み寄り、足元に倒れた人と見較べるようにして居間の中を覗きこんだ。 そこには、トタンを張った板枠の上に置....
煩悩秘文書」より 著者:林不忘
はいって来た侍を見ると――狐につままれたような顔の与助は、その侍と、二階のほうを見較べるようにして、 「親分! これはいったいどうしたというんで。」 「何がどう....
安重根」より 著者:谷譲次
徳淳がはいって来て、安重根とちらと顔を見合って腰掛けに坐る。張首明は素早く二人を見較べる。 お光 (張首明へ)あら、煙草まだあったわね。 禹徳淳 煙草じゃありま....
宵(一幕)」より 著者:宮本百合子
子 (思わず愕然とする)まあ! どうなすったのよ、ほんとに。(手紙と良三を素早く見較べる)何と云ってお寄来しになりましたの、見てもいいでしょう?(手紙を取ろうと....
南路」より 著者:宮本百合子
彼の表情が余り気色ばんでいたのとで、囲りの二三の顔が、怪訝《けげん》そうに我々を見較べる。 自分は黙って、彼の先に立ちデックと室内とを区切る戸と硝子扉とを押し....
黄昏」より 著者:宮本百合子
。 「さっきから、何だか人の声がすると思ったら――」 嫣々《にこにこ》して母娘を見較べる米子に、おくめは、心持身を開いて娘を引き合わせるようにしながら、 「麹町....
すり替え怪画」より 著者:海野十三
ンヌの「カルタを取る人」の原色版印刷が出て来た。それと、壁にかかっている画面とを見較べると、いよいよ相違がはっきりしてきた。色調も、なんだか違うようである。これ....
生産文学の問題」より 著者:宮本百合子
な、現実からの作品の創り出しかた及び、文学作品の世界としての現実の受け入れかたを見較べると、おのずから再び文学とは何であろうかというところ迄立ちかえって、考えさ....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
が蔭ったような足許から、目を上げて、兀げた老人の頭と、手に持った梨の実の白いのを見較べる。 婆さんが口を出して、 「御隠居様は御遠方でいらっしゃるのでございま....
星女郎」より 著者:泉鏡花
そ入って来ましたから。…… ところで、俯向いていた顔を上げて、それとなく二人を見較べると、私には敵らしい少い人の方が、優しく花やかで、口を利かれても、とろりと....
石塀幽霊」より 著者:大阪圭吉
かなくなってしまった。が、間もなく振り返ると、微笑を浮べながら二人の証人を等分に見較べるようにした。勿論雄太郎君も戸川差配人も、すぐに蜂須賀巡査の意中を悟って大....
坑鬼」より 著者:大阪圭吉
カラーのダブついた詰襟の服を着て、ゴマ塩頭の番人は、扉口でジロッと岩太郎とお品を見較べると、係長の前へ来て云った。 「この二人でございますね? ハイ、確かに、十....
チチアンの死」より 著者:木下杢太郎
の最後の句を聴きながら身を起す。顔色|甚だ蒼白である。 気づかわしげに人々の顔を見較べる。 凡ての人々沈黙している。 ジヤニイノ一歩チチアネルロに近づく。そこに....
父の出郷」より 著者:葛西善蔵
ね。お父さんにはそんなにないようですね」と、娘も何気なく笑って二人の顔をちょっと見較べる様子しながら言った。 それが失策だった。Fは黙ってちらりと眼を私の方に....