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「見込む〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
見込むの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「心中」より 著者:森鴎外
ではあるが、薄暗い廊下に慣れた目には、何もかも輪郭だけはっきり知れる。一目室内を
見込むや否や、お松もお花も一しょに声を立てた。 お花はそのまま気絶したのを、お....
「新生」より 著者:島崎藤村
節子がユウモアのある心持の時と言えば、極く近く顔を寄せて、まるでたましいの奥まで
見込むように眸《ひとみ》を合せることを好きでよくした。岸本はその節子の眸を見るよ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
ったズボンの膝を、張肱の両手で二つ叩いて、スーと云ったばかりで、斜めに酒井の顔を
見込むと、 「たかだか風邪のこじれです。」 「その風邪が万病の原じゃ、と誰でも申....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
き》に見込まれないようにしろや」 と言って笑うと、 「大丈夫だよ、わたしなんぞを
見込む狸はいないから」 女もまた、小屋の中を見込んで笑いながら戸を締めました。....
「青年」より 著者:森鴎外
がら、二人は公園の門を這入った。常磐木の間に、葉の黄ばんだ雑木の交っている茂みを
見込む、二本柱の門に、大宮公園と大字で書いた木札の、稍古びたのが掛かっているので....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
―― 図書、もとどりを放ち、衣服に血を浴ぶ。刀を振って階子の口に、一度|屹と下を
見込む。肩に波打ち、はっと息して※となる。 夫人 図書様。 図書 (心づき、蹌踉....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
を傾ける。 「たしかにあの松原の中」 兵馬は松原の木《こ》の下闇《したやみ》を
見込む。 「見届けて来ますべえか」 提灯《ちょうちん》を持った与八が松原の中へ....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
。 公子 可愛相に、よく介抱してやれ。 侍女一 二人が附添っております、(廻廊を
見込む)ああ、もう御廊下まで。(公子のさしずにより、姿見に錦の蔽を掛け、闥に入る....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
と明い顔は、お町である。 と、眉に翳すようにして、雪の頸を、やや打傾けて優しく
見込む。提灯の前にすくすくと並んだのは、順に数の重なった朱塗の鳥居で、優しい姿を....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
を上げて、桜の枝を指し、「万松寺さんの」で、クルリと廻って、お寺の廂《ひさし》を
見込む形になり、「お稚児桜」でまた長い袖をたくし上げて、西の堂を前に、肱《ひじ》....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
てバラバラと礫《つぶて》の雨が降って来た時は、米友が、屹《きっ》となって向う岸を
見込むと、その鼻先へ、今の今までまっしぐらという文字通りに走って来た放れ馬の奴が....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
に張りめぐらした六枚屏風《ろくまいびょうぶ》に屹《きっ》と酔眼を留めて、鋭く中を
見込むようなこなしをやりました。鋭くといっても、朦朧《もうろう》たる酔眼に、強《....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ちゃいけません」 「ナナ、ナンダ」 道庵は酔眼をみはって、路次口の暗いところを
見込むと、縁台の下に隠れて、そこから先生に警告を与えたのは、やはり、先生の名前を....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
っと彳《たたず》んで見ているうちに―― ですから、近来の米友には、じっと風物を
見込むと、知らず識《し》らず考え込む癖がついてきました。 今も湖面の風光に見惚....
「三国志」より 著者:吉川英治
らであった。 曹操から、俺の敵と睨まれたら助からないが、反対に彼が、この男はと
見込むと、その寵遇は、どこの将軍にも劣らなかった。 彼は、士を愛することも知っ....