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見返り
「見返り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
見返りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
切って、出て来た時の事を思えば、うれしくこそあれ、惜しくはない。――彼は、後ろを
見返り見返り、晴れ晴れした微笑を、口角に漂わせながら、昂然《こうぜん》として、馬....
「報恩記」より 著者:芥川竜之介
くや》しさがこみ上げて来ました。
「よし! きっと恩になるな!」
しかし甚内は
見返りもせず、さっさと雪路《ゆきみち》を急いで行きます。いつかさし始めた月の光に....
「妙な話」より 著者:芥川竜之介
二人ばかり、自動車に荷物を移している。――その一人がどう思ったか、途端にこちらを
見返りながら、にやりと妙に笑って見せた。千枝子はそれを見た時には、あたりの人目に....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
戸沢は鞄《かばん》の始末をすると、母の方へこう大声に云った。それから看護婦を
見返りながら、
「じゃ十時頃にも一度、残りを注射して上げて下さい。」と云った。
....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
岸の方へゆっくり歩き出しましたが、相手はやはり落着かない容子で、そわそわ後ばかり
見返りますから、「どうしたんだ。まるで追手でもかかりそうな風じゃないか。」と、わ....
「或る女」より 著者:有島武郎
浮かべながら、古藤に続いて入り口に近い右側の空席に腰をおろすと、あでやかに青年を
見返りながら、小指をなんともいえないよい形に折り曲げた左手で、鬢《びん》の後《お....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
」 と他愛なく身体中で笑い、 「だって、どうする。階下に居るのを、」 背後を
見返り、 「湯かい。見えなかったようだっけ。」 主税は堪えず失笑したが、向直っ....
「海異記」より 著者:泉鏡花
辺はものの磯の風。 奴は、旧来た黍がらの痩せた地蔵の姿して、ずらりと立並ぶ径を
見返り、 「もっと町の方へ引越して、軒へ瓦斯燈でも点けるだよ、兄哥もそれだから稼....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
童の片手が、ひょいと上って、また、ひょいと上って、ひょこひょこと足で拍子を取る。
見返りたまい、 「三人を堪忍してやりゃ。」 「あ、あ、あ、姫君。踊って喧嘩はなり....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
貴僧の背後になってます、」 「え!」 と肩越に淵を差覗くがごとく、座をずらして
見返りながら、 「成程。」 「北へ四枚目の隅の障子を開けますとね。溝へ柄を、その....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
ろ。」 「お方、八百屋の勘定は。」 と亭主|瞬きして頤を出す。女房は面白半分、
見返りもしないで、 「取りに来たらお払いやすな。」 「ええ……と三百は三銭かい。....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
「品子さん、」 紳士は留めようとして、ずッと立つ。 「可いのよ、貴方。」 と
見返りもしないで、 「帯がないじゃないか、さあ、これが可いわ。」と一所に肩を辷っ....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
の目を光らしていたのさ。私はその娘さんが、あとから来るのだろう、来るのだろうと、
見返り見返りしながら手を曳かれて行ったが、なかなか路は遠かった。 途中で負って....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
を渡したので町幅を截って引張合って、はらはらと走り、三ツ四ツ小さな顔が、交る交る
見返り、
見返り、 「雁が一羽|懸った、」 「懸った、懸った。」 「晩のお菜に煮て....
「活人形」より 著者:泉鏡花
私がたしかに見ました。「はてな。「思い出すと戦慄といたします。と薄気味悪げに後を
見返り、「部室の外が直ぐ森なので、風通しは宜うございますが、こんな時には、ちとど....