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見返る
「見返る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
見返るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
一所《ひとところ》に集めて爪《つめ》の掃除《そうじ》が行き届いているか確かめた。
見返ると船に乗る時着て来た単衣《ひとえ》のじみな着物は、世捨て人のようにだらりと....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
。 片膝立てて、颯と色をかえて、 「不可いよ。」 「なぜかい?」 と済まして
見返る。主税は、ややあせった気味で、 「なぜと云って、」 「はははは、そこが、肝....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
。今から三、四十年前であったら、鳶なぞがそこらに舞っていても、降りていても、誰も
見返る者もあるまい。云わば鴉や雀も同様で、それを捕獲して警察署へ届け出る者もある....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
、錦の蔽を展く。侍女等、卓子の端の一方に集る。) 公子 (姿見の面を指し、僧都を
見返る)あれだ、あれだ。あの一点の光がそれだ。お前たちも見ないか。 舞台転ず。し....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
とうるみ声にて、送り出づる時、可愛き人形袖にあり。) 晃 何だい、こんなもの。(
見返る。) 百合 太郎がちょっとお見送り。(と袖でしめつつ)小父ちゃんもお早くお....
「七宝の柱」より 著者:泉鏡花
色の果なのである。 謹んで、辞して、天界一叢の雲を下りた。 階を下りざまに、
見返ると、外囲の天井裏に蜘蛛の巣がかかって、風に軽く吹かれながら、きらきらと輝く....
「栃の実」より 著者:泉鏡花
つくる、流に迷って、根こそぎ倒れた並木の松を、丸木橋とよりは筏に蹈んで、心細さに
見返ると、車夫はなお手廂して立っていた。 翼をいためた燕の、ひとり地ずれに辿る....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
しいお薬を下さって、水ごと残しておきました、……この手|桶から、」…… と姥は
見返る。捧げた心か、葦簀に挟んで、常夏の花のあるが下に、日影涼しい手桶が一個、輪....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
に刻まれたもののようである。 ひとりかの男のみ、堅く突立って、頬を傾げて、女を
見返ることさえ得しない。 赤ら顔も足も動かさなかった。 「あまつさえ、乱暴とも....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
さ。寂さ。我は化けんと思えども、人はいかに見るやらん。尻尾を案じた後姿、振返り、
見返る処の、科、趣。八幡、これに極った、と鬼神が教を給うた存念。且つはまた、老人....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
、島田やら、銀杏返しやら、累って立った徒は、右の旦那よりか、その騒ぎだから、皆が
見返る、見物の方へ気を兼ねたらしく、顔を見合わせていたっけが。 この一喝を啖う....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
鵞絨の縁取りたる綿厚き座蒲団の、胸に当てて膝を蔽うまでなるを、両袖に抱えて来つ。
見返る女に顔を見合せて、 「あのね、姉さんが。」と小声に含めて渡す。 受取りて....
「明暗」より 著者:岡本かの子
何人が、三木雄を盲青年と見たであろうか、 「あなたね。行き合う人がみんなあなたを
見返るのよ。」 「…………」 「あなたのお洋服が好くお体に似合うからよ」 「……....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
。 五ツ紋の青年は、先刻門内から左に見えた、縁側づきの六畳に畏って、件の葭戸を
見返るなどの不作法はせず、恭しく手を支いて、 「はじめましてお目に懸ります。」 ....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
と入ったまま長火鉢に軽く膝を支いて、向うへ廻った女房に話しかけたが、この時門口を
見返ると、火の玉はまだ入らず、一件の繻子張を引提げながら、横町の土六尺、同一処を....