見透す[語句情報] » 見透す

「見透す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

見透すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
富士」より 著者:岡本かの子
える自分を、男に見せられなかったのを残念に思った。そこにすでに男の虚勢を見透し、見透すがゆえに、余裕|綽々《しゃくしゃく》とした自分であることを男に示したかった....
深夜の市長」より 著者:海野十三
の男の刺殺事件と密接な関係があったことを後で知って、驚倒したが、その夜はそこまで見透す力がなかった。 僕等の円タクは速水輪太郎の心配と、僕の募りくる懐疑とを乗....
気狂い機関車」より 著者:大阪圭吉
なかったのです。従って私達は、ここで最も簡単にしかも合理的に、犯行の本当の現場を見透す事が出来るのです。即ち屍体は、推定時間当時に於てこの下り一番線上を通過した....
食魔」より 著者:岡本かの子
されていた。 鼈四郎はこの店に入浸るようになった。お互いに基礎知識を欠く弱味を見透すが故に、お互いに吐き合う気焔も圧迫感を伴わなかった。飄々とカンぎ取る利益も....
谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
あった。私は頭の中まで、ぼんやりと膜が下りたようになった、眼鏡は曇って、一寸先を見透すのさえ大なる努力を要する、外套のおもてには、雨が糸筋を引いていい加減に結び....
かんかん虫」より 著者:有島武郎
を見やって居る。自分も彼の視線を辿った。近くでは、日の黄を交えて草緑なのが、遠く見透すと、印度藍を濃く一刷毛横になすった様な海の色で、それ丈けを引き放したら、寒....
薬草取」より 著者:泉鏡花
背には花籠、脚に脚絆、身軽に扮装ったが、艶麗な姿を眺めた。 かなたは笠の下から見透すが如くにして、 「これは失礼なことを申しました。お姿は些ともそうらしくはご....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
ら恐怖んだよ。 わけても、旦那に顔を見られるたびに、あの眼が、何だか腹の中まで見透すようで、おどおどしずにゃいられない。(貞)ッて一声呼ばれると、直ぐその、あ....
かの女の朝」より 著者:岡本かの子
ちた建物の一角がある。それは空中を鍵形に区切り、刃型に刺し、その区切りの中間から見透す空の色を一種の魔性に見せながら、その性全体に於ては茫漠とした虚無を示して十....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
は衣紋を直しつつ近着いた。 近づくと、 「あッ、」 思わず、忍音を立てた――見透す六尺ばかりの枝に、倒に裾を巻いて、毛を蓬に落ちかかったのは、虚空に消えた幽....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
はいませんでした。わたしは自分の通りかかった邸宅という邸宅の窓の鎧戸やカーテンを見透すように眼をくばりました。 セラピオン師はわたしの態度を別に疑いもせず、た....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
を絵板が嵌め込みになっていて、そのために湯槽はその高さの半を覆われて、外から内を見透すことは出来ない。絵板はあくどい彩具で塗られている。それを柘榴口といって、そ....
四月馬鹿」より 著者:織田作之助
いるようで、ふとあらぬ方向を凝視している感じであった。こんな眼が現実の底の底まで見透す眼であろうと、私は思った。作家の眼を感じたのだ。 ちょっと受ける感じは、....
雪柳」より 著者:泉鏡花
手で、首尾の松を拝んだような船の舳に、ぼっと、白いものが搦んでいる。呼吸を詰めて見透すと、白い、細りした、女の手ばかりが水の中から舳に縋っているのであります。「....
思い出草」より 著者:岡本綺堂
には例の西郷・桐野・篠原の画像が掲げられてあった。 男湯と女湯との間は硝子戸で見透すことが能た。これを禁止されたのはやはり十八、九年の頃であろう。今も昔も変ら....