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見通す
「見通す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
見通すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「白」より 著者:芥川竜之介
からです。しかし我々は犬の言葉を聞きわけることが出来ませんから、闇《やみ》の中を
見通すことだの、かすかな匂《におい》を嗅《か》ぎ当てることだの、犬の教えてくれる....
「交尾」より 著者:梶井基次郎
私の立っているのは、半ば朽ちかけた、家の物干し場だ。ここからは家の裏横手の露路を
見通すことが出来る。近所は、港に舫《もや》った無数の廻船《かいせん》のように、た....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
しみついているは、たしかにその証拠じゃ――。のう、このとおり、どのようなことでも
見通すことのできるわしゆえ、隠してはなりませぬぞ。見れば、家人とてはそなたおひと....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
ぶように忠告される。青くなって退場したり、卒倒したり、はじめての女でおしまいまで
見通すのは殆どないからだ。だから、言わないこっちゃない。 しかし、男でも女でも....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
夢想してる若い女のあきらめきった静安。それらの魂の無言の音楽は、クリストフだけが
見通すことができた。彼らにはその音楽が聞こえなかった。彼らはそれぞれ自分の悲哀や....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
のような長い仕事着をつけてる製本女工ら――飢えた眼つきで通りがかりの人の肉体まで
見通す、あの笑い好きな大娘たち――その間を印刷工場からの帰りに、できるだけ身を縮....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
それがなおいっそう必要だった。三週間引きつづいて絶え間なしに雨が降った。つぎには
見通すことのできない一面の灰色の雲がスイスの濡《ぬ》れて震えてる谷間の上にのしか....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
何ゆえにかくのごとくなったのであるか?
それを知る者は、いっさいの暗き所をも
見通す者である。
それはただ一人。それを神という。
十二 バマタボア氏の遊惰....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
ながら、後ろをふり返ってながめた。
そこから彼は、オーステルリッツ橋をすっかり
見通すことができた。
四個の人影が橋にさしかかってるところだった。
それらの....
「土地に還る」より 著者:豊島与志雄
に赤く、むき出しの大きな目玉がいやに白く、両方相俟ってぎょろりとして、物の底まで
見通すかと思われるような眼差しでした。――その火傷の跡は、現代の外科医術を以てす....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
った。代官町のふけた通りには、人っ子一人いなかった。半町ほど先から道が曲がって、
見通すことはできなかったが、その曲がり角にかなり大きな、薬種屋らしい家があって、....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
びたりと二つに割って開け、ばらばらと小口を返して、指の尖でずッと一わたり、目金で
見通すと、 「そうそうそう、」といって仰向いて、掌で帳面をたたくこと二三度す。 ....
「城」より 著者:カフカフランツ
やかなんですが。それから車の出てくるきかたがそれぞれの道についてまちまちで全体を
見通すことができないのと同じように、車の数についてもまちまちなのです。馬車が一台....
「審判」より 著者:カフカフランツ
判所の身分の順序とか昇進とかいうものは無限であって、事情に明るい者にすらすっかり
見通すことはできない。ところが法廷の手続きは一般には下層の役人にとっても秘密であ....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
って実は呆れ返った。こういう人ならば彼のお婆さんの息子が言った通り私の内心をよく
見通すことが出来る人であるかも知れないから、これは大いに喜ばしいという考えで話を....