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見遣り
「見遣り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
見遣りの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「街頭から見た新東京の裏面」より 著者:杉山萠円
来る位のことで、あちこち覗《のぞ》いて見るようなことは先ずない。寧ろそんな連中を
見遣りながら、冷やかに笑って帰る位のところである。 喰い物でもそうで、彼等が這....
「復讐」より 著者:夢野久作
こう云って笑うと、思い切って大きな欠伸を一つした。硝子窓越しにチラチラ光る綿雪を
見遣りながら……。 「……成る程……それでは……私の意見を……申してみますが……....
「食魔」より 著者:岡本かの子
える性質があるのだ」 お絹は屑箱の中からまだ覗いているアンディーヴの早春の色を
見遣りながら 「鼈四郎の意地悪る」 と口惜しそうにいった。「おとうさまにいいつ....
「名娼満月」より 著者:夢野久作
之丞、千六の二人の姿に眼を止めた満月は、思わずハッと立佇まった。二人の顔を等分に
見遣りながら、持って生れた愛嬌笑いをニッコリと洩らして見せた。 魂が見る間にト....
「青年」より 著者:森鴎外
い呵責を受けながら、とうとう読んで見ずにしまったラシイヌの一巻を返した。奥さんは
見遣りもせず手にも取らずに、「お帰りの時、どれでも外のをお持ちなさいまし」と云っ....
「クリスマス・カロル」より 著者:ディケンズチャールズ
彼の体躯は透き通っていた。そのために、スクルージは、彼を観察して、胴衣を透かして
見遣りながら、上衣の背後に附いている二つの釦子を見ることが出来た位であった。 ....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
んは振返って、やや日脚の遠退いた座を立って、程過ぎて秋の暮方の冷たそうな座蒲団を
見遣りながら、 「ねえ、旦那様、あすこに坐っておりましたが、風立ちもいたしませず....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
しないのを、感に耐えたからだとも思ったろう。滝太郎は極めて得意な様子でお兼の顔を
見遣りながら、件のリボン飾を指して、 「これがね、一番新しいんだぜ。ほら、こない....
「四十八人目」より 著者:森田草平
驚したような声を上げた。それでも気丈な女だけに、手燭を上げて、おずおず相手の顔を
見遣りながら、 「まあ、旦那様でしたか。こんな所に立っていらして、本当に吃驚しま....
「天草四郎の妖術」より 著者:国枝史郎
ッと鎌首を持ち上げたものです。 「ワッ」 と見物は叫び乍ら逃げる。それを冷かに
見遣り乍ら、 「これこれ見物逃げるには当らぬ。蛇では無い是は縄だ」 云い乍ら老....
「取舵」より 著者:泉鏡花
免じて一條聞いてやろう。その代り莨を一本。……」 眼鏡|越に学生は渠を悪さげに
見遣りて、 「その口が憎いよ。何もその代りと言わんでも、与れなら与れと。……」 ....
「子をつれて」より 著者:葛西善蔵
を緩めて、コンクリートの塀の上にガラスの破片を突立てた広い門の中をジロ/\横目に
見遣りながら、歩いて行ったのであった。が丁度その時、坂の向うから、大きな体格の白....
「茶粥の記」より 著者:矢田津世子
られる。出勤時の身じろぎも出来ない電車の中で人と人の肩の隙間を流れる窓外の新緑を
見遣りながら、ウコギやウルシの若葉のおひたし、山蕗の胡麻よごしを思い描く。それか....
「活人形」より 著者:泉鏡花
何、訳はありません。近い内にきっと罪人を出しましょう。と事も無げに謂う顔を警部は
見遣りて、「君、鰒でも食って死よったのかも知れんが。何も毒殺されたという証拠は無....