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見開き
「見開き〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
見開きの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
のようにどこともなく姿をひそめてしまっていた。葉子はあわてふためいて、大きく目を
見開き、鋭く耳をそびやかして、そこにある物、そこにある響きを捕えて、それにすがり....
「東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
主人と中老の男の盃の献酬がはじまる。裏の障子を開けた外は重なった峯の岨《そば》が
見開きになって、その間から遠州の平野が見晴せるのだろうが濃い霞が澱《よど》んでか....
「西湖の屍人」より 著者:海野十三
憎むべき幻影よ。わが前より消えてなくなれ。消えてなくなれ!」 彼は両眼をカッと
見開き、この一見意味のない台辞を嘔きちらしていたが軈てブルブルと身震いをすると、....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
ぶ恰好に似ていた。切られた金魚の首は電燈の光に明るく透けてルビーのように光る目を
見開き、口を思い出したように時々開閉していた。 都会育ちで、刺戟に応じて智能が....
「臨終まで」より 著者:梶井久
綿の筆で口の内外へ水を塗ってやりました。私が「基次郎」と呼ぶと、病人はパッと眼を
見開きますが「お母さんだぜ、分って居るか」と言っても何の手応えもなく直ぐまた眼を....
「血の文字」より 著者:黒岩涙香
いの鎮まりし如く「爾さなア、矢張り血の文字は老人が書たのかも知れぬ」余は忽ち目を
見開き「老人が左の手でかね、其様な事が有うか夫に老人が唯一突で文字などを書く間も....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
。歯形のあるべきこの腕に、二十枚の歯形は影もなく、それより恐ろしい女の顔が、眼を
見開き唇を歪め嘲笑うように現われていた。 「人面疽」 と叫ぶと一緒に、葉之助は....
「地球要塞」より 著者:海野十三
使の怪力によることは、私によく分っていた。 提督は、驚きのあまり、両眼を大きく
見開き、そして大きな息をはいて、窓にしがみついていた。 「わかった。もう、わかっ....
「四次元漂流」より 著者:海野十三
首を左右にふった。 すると雪子学士の面に焦燥の色があらわれた。彼女は大きく眼を
見開き、室内をぐるっと一めぐり見わたした。と、彼女は課長の机の前をはなれて、すた....
「崩れる鬼影」より 著者:海野十三
んッ」気を失っている兄を、私は一生懸命にゆすぶりました。 「おお」兄はパッと目を
見開きました。「ああ影が崩れる――」 謎のような言葉を云ったなり、兄は又ガクッ....
「銀三十枚」より 著者:国枝史郎
及ぶまい」――で私は上って行った。 書斎の扉が開いていた。 大きく茫然と眼を
見開き、――白昼に夢を見ているような、特殊な顔を窓の方へ向け、彼女が寝椅子に腰か....
「著作権の問題」より 著者:伊丹万作
だ体裁がよいが、実はいやおうなしにたたき起された形で、まだ眠そうな眼をぼんやりと
見開きながらあくびばかりくりかえしている状態である。 しかし、いつまでもそんな....
「城」より 著者:カフカフランツ
みは爪立ちの大股で内庭に通じているうしろ側のドアへいき、鍵穴からのぞき、次に眼を
見開き、顔をほてらせながらみんなのほうへ振り向いて、自分のところへくるように指で....
「活人形」より 著者:泉鏡花
下枝が細き小腕を後手に捻じ上げて、縛めんとなしければ、下枝は糸よりなお細く、眼を
見開きて恨しげに、「もう大抵に酷うしたが好うござんしょう。坐っている事も出来ぬよ....
「鉄の処女」より 著者:大倉燁子
うに私の顔を見詰めました。今度の驚愕は前の如きものではなく、その大きな眼を一杯に
見開き、唇は痙攣して引きつり、低い呻吟くような声が咽喉から押し出されました。 『....