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「視覚〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

視覚の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
二つの手紙」より 著者:芥川竜之介
けて、静に立っているのでございます。が、それに別に不思議はございません。私が私の視覚の、同時にまた私の理性の主権《しゅけん》を、ほとんど刹那に粉砕しようとする恐....
或る女」より 著者:有島武郎
、中座をして行く古藤を美しくたしなめるようにじっと見返していた、それを葉子の鋭い視覚は見のがさなかった。 「古藤さん、あなたこれからきっとたびたびいらしってくだ....
富士」より 著者:岡本かの子
肩尖、膝頭、臀部、あたま――翁の眼中、一々、その凸所の形に似通う山の姿が触覚より視覚へ通じ影像となって浮んで来た。 山処《やまと》の ひと本すゝぎ 朝雨《あさ....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
、実生活に縁の近い触覚若しくは味覚などに依るよりも、非功利的な機能を多量に有する視覚聴覚の如きに依ろうとする。それらの感覚に訴える手段にもまた等差が生ずる。 ....
西湖の屍人」より 著者:海野十三
人の手足のような四肢を、意のままに少しずつ動かすことを練習にかかった。それは彼の視覚の援助によって段々と正確に動いて行った。それは非常に大きい喜びに相違なかった....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
を浸み出す砂の層が大きな横縞になっていた。崖端のロマネスクの休亭は古城塞のように視覚から遠ざかって、これ一つ周囲と調子外れに堅いものに見えた。 七つ八つの金魚....
河明り」より 著者:岡本かの子
るので、暗くはなかった。 思いがけない情景のなかで突然、娘に逢って周章てた私の視覚の加減か、娘の顔は急に痩せて、その上、歪んで見えた。ウェーヴを弾ね除けた額は....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
該博な引証を挙げた後に、法水はこれら古史文の科学的解釈を、一々殺人事件の現実的な視覚に符合させようと試みた。 「とにかく、魔法博士デイの隠顕|扉があるほどだから....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
るような心持ちになったが、私はそれを堪えながら、そんなあやしい人影などはなにかの視覚のあやまりである。あらぬものの影を見たりするのは神経作用から起こるもので、病....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
持っている割に、胃袋があまりに小さすぎるのです。それで、非常に不健康な眼、つまり視覚上の錯覚を生ずるのですよ。あなたの胃を丈夫になさい。そうすれば、自然に精神も....
高原の太陽」より 著者:岡本かの子
の陽は鮮かに冴えていても、肌に柔かかった。久しぶりに繃帯押えを外して外光に当てる視覚は、いくらか焦点をぼかして現実でもなく非現実でもない中間の世界を見出した。 ....
明暗」より 著者:岡本かの子
知り得るのであった。生後二十余年間未開のままで蓄積されていた三木雄の生命の精力が視覚を密閉された狭い放路から今や滾々として溢れ出て来るのを感じた。それはまた時と....
甲州郡内妖怪事件取り調べ報告」より 著者:井上円了
しに、その言語の順序、連絡の上において、さらに異常あるを認めざりき。よって、また視覚の上に種々の試験を施し、もって幻覚、妄覚の有無を考えしに、またさらにその徴候....
妖怪学」より 著者:井上円了
もなしといえども、その醒覚するや、一部は早く一部は遅く、また、眠りに就くときは、視覚神経すでに眠れども、聴覚神経いまだ眠らざることあり。かくのごとく、全脳総体作....
宝永噴火」より 著者:岡本かの子
だ。何の触覚を与えない雲は、聖者を周囲から閉じ込めて、とうとう白一色だけが聖者の視覚の奥に感じられた。間もなく聖者は自身の存在感を失って、天地にただ真白く、肉の....