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「観音経〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

観音経の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
こくさ》い桑ボヤを思い出した。が、その記憶もつづかなかった。彼は時々唸り声の間に観音経を唱えて見たり、昔のはやり歌をうたって見たりした。しかも「妙音観世音《みょ....
」より 著者:芥川竜之介
いながら、今更のようにため息をついて、不承不承にまた元の経机《きょうづくえ》へ、観音経《かんのんぎょう》をよみに帰るのである。 それからまた内供は、絶えず人の....
真景累ヶ淵」より 著者:三遊亭円朝
れるから、仮名附のお経を買って心経《しんぎょう》から始め、どうやら斯うやら今では観音経ぐらいは読めるように成ったが、此の節は若い時分の罪滅《つみほろぼ》しと思い....
政談月の鏡」より 著者:三遊亭円朝
《ねんぴかんのんりき》、釈然得解脱《しゃくねんとくげだつ》、と牢の中《なか》でも観音経《かんのんぎょう》を誦《よ》んで居たが今ヒョロ/\と縄に掛って仮牢から引出....
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
ていた。その神秘的の空気のうちに、阿闍梨はだまって坐った。 彼はいつものように観音経を誦《ず》し出そうとしたが、不思議に喉《のど》が押し詰まったようで、唱え馴....
十二支考」より 著者:南方熊楠
に獲られ辱を受けず牧羊に使われ、苦役十年、一比丘に遇《お》うて五戒を授かり、昼夜観音経を念ずると斑虎《ふこ》に導かれ故郷へ還り得たと載す、智者大師の『観世音義疏....
私の母」より 著者:堺利彦
の方に行くのであった。 母はまた、観音様信仰で、毎晩お灯明をあげては、口の中で観音経か何かを誦《ず》しながら拝んでいた。そして毎月十七日の晩には、必ず錦町の観....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
経《ふ》る狐に相違なかった。死体の傍には数珠《じゅず》も落ちていた。小さい折本の観音経も落ちていた。履物はどこにも見えなかったが、その袈裟と法衣と、数珠と経文《....
新釈諸国噺」より 著者:太宰治
の名を叫び出し、さらばよ、さらばよ、といやらしく悶えて見せる者もあり、笈の中より観音経を取出し、さかさとも知らず押しいただき、そのまま開いておろおろ読み上げる者....
艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
「お経の文句。それはどのお経にある。」 和尚の眼はものずきに燃えていた。 「観音経のなかの、 甘露法雨 滅除煩悩焔 という文句です。あの文句を紙に書いて、そ....
」より 著者:池谷信三郎
する口実を考えているか? 答。私は喜んで橋を渡って行きましょう。私はそこで静かに観音経を読みましょう。それから、心行くまで、シイカの幻を愛し続けましょう。 問。....
氷河」より 著者:黒島伝治
揺するたび、傷を抑えて歯を喰いしばった。 「おや、また入院があるぞ。ウェヘヘ。」観音経を唱えていた神経衰弱の伍長が、ふと、湯呑をチンチン叩くのをやめた。 負傷....
回想録」より 著者:高村光太郎
頭巾を被って、畳紙や筆の簾巻にしたのを持って通ってゆく姿が今でも眼に残っている。観音経を覚えて、上野の暗いところを通る時にはそれを誦しながら歩くと恐くないと語っ....
赤坂城の謀略」より 著者:国枝史郎
と思いながら数町走り、そこで初めて臂を調べてみた。 日頃信じて読誦し奉る、観音経を入れた守袋に、矢の立った痕があらわれていた。 (神仏の加護) と正成は....
おばけずきのいわれ少々と処女作」より 著者:泉鏡花
学者、宗教家達とは自らその信仰状態を異にする気の毒さはいう迄もない。 僕はかの観音経を読誦するに、「彼の観音力を念ずれば」という訓読法を用いないで、「念彼観音....