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「観音開き〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

観音開きの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
、開門さッしゃい! 早く開門してあげさッしゃい」 打ちうろたえながらギギギイと観音開きにあけたのを、編笠片手にぬッと駕籠の中から、ぬッと悠々と姿を見せたのはわ....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
と思うよ」と法水は、最後の駄目を押して、それから、衣裳の背後にあるホックを外して観音開きを開き、体内の機械装置を覗き込んだ。それは、数十個の時計を集めたほどに精....
武装せる市街」より 著者:黒島伝治
どくブル/\ふるえた。手と同時に、椅子にかけた脚もブル/\ふるえていた。隣家の、観音開きの戸口からは、馬貫之の細君が、歯がすえるヴァイオリンのような歌を唄うのが....
心の河」より 著者:宮本百合子
とも云い出すのです。愛している、愛しているって、百万遍お互に誓い合ったって、心の観音開きがいつでも行き違ってプカプカしていて、貴方平気? 平気でいらっしゃれるの....
七階の住人」より 著者:宮本百合子
の客間で集りがあることになっていたのだ。 集りは三十分ほどで済んだ。あけ放した観音開きの扉から、浮かない顔付の娘達がぞろぞろ出て来る。先へ出た伸子は、豊子を待....
伸子」より 著者:宮本百合子
、こんなものを大切にしていますのじゃ」 伸子は珍しく思って、金《きん》を打った観音開きの扉や内部の欄間に親鸞上人の一代記を赤や水色に彩《いろど》りした浮彫で刻....
旅愁」より 著者:横光利一
形から射し返して、ずしりと引き込まれたように切なく胸が詰って来た。聞もなく、竈の観音開きになった鉄の戸が左右に開いて、そして、父の柩はそのまま狭い口へ詰め込まれ....
連句雑俎」より 著者:寺田寅彦
りもいっそう前々句に似たがる傾向がある。いわゆる打ち越しに膠着《こうちゃく》し、観音開きとなって三句がトリプチコンを形成するようになりたがるものである。これはも....
夜の靴」より 著者:横光利一
り谷間に響いた。もうあたりが暗く、正面の堂の閉った扉が隙間を一寸ほど開けている。観音開きになった扉の厚い合せ目に下から手をかけて引いてみるのに、中から鍵が降りて....
旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
、真四角な、かなりの広さの地所へ隅の方に焼け蔵が一戸前《ひととまえ》あるだけで、観音開きの蔵前を二、三段上ると、網戸に白紙《かみ》が張ってある。くぐりをあけては....
カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
見回している暇に、グリゴリイはいちはやく食卓を一回りして、奥へ通じている、正面の観音開きの扉を閉めきった。そして閉めた扉の前に立ちふさがると、大手を広げて、最後....
或る女の手記」より 著者:豊島与志雄
って、心では彼の姿を見守りながら、普通の足取りで家へ帰っていった。私の家の門には観音開きの扉がついていて、玄関と門との間が砂利を敷いた狭い前庭になっていた。門の....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
された大きな広間は、昔は司教邸の控えの間であったが、今は法廷の控室となっていた。観音開きの扉が、その時閉ざされていて、重罪裁判が開かれている大きな室をへだててい....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
種々な五月の花が咲き出ていた。門はしまっていた。その扉《とびら》はこわれかかった観音開きで、さびた古い金槌《かなづち》がそえてあった。 太陽はうららかで、木々....
」より 著者:カフカフランツ
向いた。二人の助手が、いつものぎごちない職務熱心な態度で、Kの言葉を聞くとすぐ、観音開きのドアの両方を開けてしまっていた。Kはひどく侵入してくる寒気からこの病室....