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「角々〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

角々の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
がら、まず第一に田川夫人のほうに目をやってそっと挨拶《あいさつ》すると、今までの角々《かどかど》しい目にもさすがに申しわけほどの笑《え》みを見せて、夫人が何かい....
或る女」より 著者:有島武郎
をどうする事もできなかった。車がようやく池の端に出ると葉子は右、左、と細い道筋の角々《かどかど》でさしずした。そして岩崎《いわさき》の屋敷裏にあたる小さな横町の....
隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
て二十前の女とは見えない。女としてはからだがたくまし過ぎるけれど、さりとて決して角々しいわけではない。白い女の持ち前で顔は紅に色どってあるようだ。口びるはいつで....
三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
あけました。その長持はわたくしも知って居ります。全体が溜塗りのようになっていて、角々には厚い金物が頑丈に打付けてございます。わたくしも正面から平気でのぞく訳には....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
末と同様である。尾張町の角や、京橋の際には、歳の市商人の小屋も掛けられ、その他の角々にも紙鳶や羽子板などを売る店も出た。この一ヵ月間は実に繁昌で、いわゆる押すな....
梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
ていたという。 その木原氏の処へ翁が或る時屏風の張り方を習いに来た。平面の処や角々は翁自身の工夫でどうにか出来たが、蝶番いの処がわからないので習いに来たのであ....
日本脱出記」より 著者:大杉栄
だろう。 僕は税関を出るとすぐ、馬車を呼んで走らした。そしてしばらく行ってから角々で二、三度あとをふり返って見たが、あとをつけて来るらしいものは何にもなかった....
獄中記」より 著者:大杉栄
を取って突っ立っている看守に怒鳴りつけた。僕は幼年学校仕込みの「廻れ右」をわざと角々しくやって、典獄室を出た。これは幼年校時代の叱られる時のいつもの癖であったが....
巴里祭」より 著者:岡本かの子
ポン・ド・グルネルの橋の突き出しに立っている自由の女神の銅像が炎天に※えて姿態の角々から青空に陽炎を立てゝいるように見える。橋を日傘が五ツ六ツ駈けて行く。対岸の....
凧の話」より 著者:淡島寒月
の具合で、上下二本の糸目でも充分なのである。本糸目というと、即ち骨の重った所及び角々全部へ糸目をつけたものである。骨は巻骨即ち障子骨、六本骨、七本骨などがあって....
白痴」より 著者:坂口安吾
じゃ先生、お大事に。リヤカーをひっぱりだすと仕立屋も慌てていた。リヤカーは路地の角々にぶつかりながら立去った。それがこの路地の住人達の最後に逃げ去る姿であった。....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
いのであった。で、距離が遠く思われるのであった。 でもとうとう四つ辻まで来た。角々に立っている小さな私娼宿は、戸外のなんとない恐迫観念をいつのまにか感じたもの....
幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
、駒形方面から、一方は門跡から犇々と火の手が攻めかけて来るのだが、その間は横丁の角々は元より到る処荷物の山で、我も我もと持ち運んだ物が堆高くなっている。それを火....
知々夫紀行」より 著者:幸田露伴
しものの端々にかえって信とすべきものの現るる習いなることは、譬えば鍍金せるものの角々に真の質の見るるが如しなどおもう折しも、按摩取りの老いたるが入り来りたり。眼....
一ノ倉沢正面の登攀」より 著者:小川登喜男
枚岩の岩場を登りつめると本沢のリンネの入口に達する。そこからは急に岩質が変って、角々した岩場になるが、すぐ正面は小さいながらも壁をなし水が滴っていてちょっと厄介....