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角出
「角出〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
角出の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ないかと、かれは丁度幸いのように云い出した。 「なに、たいしたこともあるまい。折
角出かけて来たもんだから、もう少し我慢してみようじゃあないか。強く降って来たら、....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
「違う」 石子は微笑ながら答えた。 「然し、関係のある奴に相違ない」 「兎に
角出て来る所を押えよう。此間のような目に遭うといけないから、僕は庭の方を警戒して....
「蒲団」より 著者:田山花袋
生の御教訓は身にしみて守るつもりで御座いますが、一先、旅籠屋に落着かせまして、折
角出て来たものですから、一日位見物しておいでなさいと、つい申して了いました。どう....
「読書法」より 著者:戸坂潤
らくる誤植は眼にあまる。――だがこういっても、こういう本の訳の出ないよりは、とに
角出た方がいいということは、素直に一般的に強調しておかねばならぬ点だ。多分訳者は....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
宅旁の寺の一尼抱き帰り自らこれを鞠《やしな》う、一日尼出で、その母付き自ら抱く、
角出で鱗|起《た》ち、母大いに驚きこれを地に墜す、尼心大いに動く、亟《いそ》ぎ還....
「突堤」より 著者:宮本百合子
ちゃん達を呼んで来て頂きましょうよ」 と云うが、おばあさんは低い声ながら、 「折
角出かけたからには行って見べし」 と、程なく自分から立って帯などをしめるのであっ....
「詩の原理」より 著者:萩原朔太郎
めずして後に引き返す。されば日本に於ては、一の新しいジャーナリズムが興る毎に、折
角出来かけた新文化は破壊されて、跡には再度鎖国日本の旧文化が、続々として菌のよう....
「再刊の言葉」より 著者:宮本百合子
持法という悪法によって弾圧され、『働く婦人』の刊行は、非常に困難に陥りました。折
角出来上った雑誌をそっくりそのまま警察の手で押えられるというひどいことなどもあり....
「世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
済提携が成り立ちそうになった丁度その時に、不幸にして突発したものだった。吾々は折
角出来かけた東洋平和の基礎が、際どい処で覆されたと思って失望したのだが、併し雨降....
「社会時評」より 著者:戸坂潤
済提携が成り立ちそうになった丁度その時に、不幸にして突発したものだった。吾々は折
角出来かけた東洋和平の基礎が、際どい処で覆されたと思って失望したのだが、併し雨降....
「C先生への手紙」より 著者:宮本百合子
いと見た人が申しました。何でございましょう。此間、頂上まで登って見たいと思って切
角出かけたのに途中で駄目になって仕舞いました。平地の健脚は、決して石ころの山道で....
「生あらば」より 著者:豊島与志雄
いる。……妙に何か考え込まれた。そして今すぐに金を返さなければいけなかった。兎に
角出かけなければならない。で足を返すと、向うの隅に老婆の顔がげらげらと笑っていた....
「取返し物語」より 著者:岡本かの子
かけていた。「忘れまいぞえあのことを」「忘れまいぞえあのことを」お上人さまとて折
角出来た此の御堂に、そりゃ常住おいでなさり度いのではあろうけれど、聴けばいろいろ....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
を苦しめようと企てたものらしいので、わたしは木挽町を毎日通るたびに、この小屋は折
角出来あがっても結局どうなることであろうと、何だか気の毒のように思われてならなか....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
言う方針を取り、粗相だの、不注意だのということは、薬にしたくも無い様にしよう、折
角出て貰って、ここで帰るのは残念だが、跡の薬になるから、今夜は戻ろう。』 と、....