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「角帯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

角帯の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
とした。十四の夏が秋に移ろうとしたころ、葉子はふと思い立って、美しい四寸幅ほどの角帯《かくおび》のようなものを絹糸で編みはじめた。藍《あい》の地《じ》に白で十字....
或る女」より 著者:有島武郎
しんばし》に着くと葉子はしとやかに車を出たが、ちょうどそこに、唐桟《とうざん》に角帯《かくおび》を締めた、箱丁《はこや》とでもいえばいえそうな、気のきいた若い者....
旧主人」より 著者:島崎藤村
て、御部屋へ参って見ると、未だ御仕度の最中。御客様は気短《きぜわしな》い御方で、角帯の間から時計を出して御覧なすったり、あちこちと御部屋の内を御歩きなすったりし....
家霊」より 著者:岡本かの子
ているので薄倖を想わせる顔付きの老人である。その儒者風な顔に引較べて、よれよれの角帯に前垂れを掛け、坐った着物の裾から浅黄《あさぎ》色の股引《ももひき》を覗かし....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
日の筒袖の方が軽快で便利である。屋敷の子は兵児帯をしめていたが、商家の子は大抵|角帯をしめていた。 靴は勿論すくない、みな草履であったが、強い雨や雪の日には、....
出家とその弟子」より 著者:倉田百三
の。 唯円 はい。ここから見ているといろいろな人が下を通ります。 丁稚二人登場。角帯をしめ、前だれをあて、白足袋をはいている。印のはいったつづらを載せた車を一人....
無惨」より 著者:黒岩涙香
愛嬌顔、下へ向ては茶かし顔なる可し、名前は谷間田と人に呼ばる紺飛白の単物に博多の角帯、数寄屋の羽織は脱ぎて鴨居の帽子掛に釣しあり無論官吏とは見えねど商人とも受取....
売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
。」 と、甘谷という横肥り、でぶでぶと脊の低い、ばらりと髪を長くした、太鼓腹に角帯を巻いて、前掛の真田をちょきんと結んだ、これも医学の落第生。追って大実業家た....
人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
たのである。 寄席の高座で、がんどうの明りに、えごうく浮き出てくる妖怪の顔や、角帯をキュッとしごいて、赤児の泣き声を聴かせるといった躰の――そうしたユーモラス....
地上」より 著者:島田清次郎
もう二人見知らぬ青年が坐っていた。一人は頭髪を黒々と美しく分けた血色のよい、袷に角帯をしめた大きな商店の番頭らしい風采で、もう一人は久留米絣の袷を着た学生らしい....
八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
は何の連鎖もない。地理的にいえば、大塚と行徳と荒芽との三地点から縄を引っ張った三角帯が『八犬伝』の本舞台であって、この本舞台に登場しない犬江(親兵衛は行徳に顔を....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
しそうだ。が、する事はだらしがない。外套は着ていなかった。羽織を捌いた胸さがりの角帯に結び添え、希くは道中師の、上は三尺ともいうべき処を、薄汚れた紺めりんすの風....
贋物」より 著者:葛西善蔵
ているようなカリケチュアが載ったことがあるが、ちょうど今もきゃしゃな小さな体躯に角帯などしめて、その大きな楽焼の湯呑で茶を飲んでいた。 「イヨー、すっかり米屋さ....
呼ばれし乙女」より 著者:岡本かの子
って来た。競り上るように鮮かさを見せる満山の新緑。袷の紺飛白に一本|独鈷の博多の角帯を締め、羽織の紐代りに紙繕を結んでいる青年音楽家は、袖をつめた洋装を着た師の....
私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
客という奇妙な資格でそこに居座ることになった。いよいよ小づかいに困り、しめていた角帯を持って質屋へいき『五十銭貸してくれ』といって断られたのもこの時分のことであ....