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「角時計〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

角時計の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
のはわかりきっていた。柿江はそわそわした気分で、低い天井とすれすれにかけてある八角時計を見た。もう九時が十七分過ぎていた。しかしぐずぐずしていると、他の教師たち....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
あって、その骨格通りにふくれ上がるのだから、まるで水気《すいき》になやんでいる六角時計のようなものだ。御三が聞いたらさぞ怒《おこ》るだろうから、御三はこのくらい....
野分」より 著者:夏目漱石
を開いたまま、茫然《ぼうぜん》として眼を挙《あ》げた。正面の柱にかかっている、八角時計がぼうんと一時を打つ。柱の下の椅子《いす》にぽつ然《ねん》と腰を掛けていた....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
その中に最も人間に近く、頼母しく、且つ奇異に感じられたのは、唐櫃の上に、一個八角時計の、仰向けに乗っていた事であった。立花は夢心地にも、何等か意味ありげに見て....
お久美さんと其の周囲」より 著者:宮本百合子
の食った箪笥の上には小鏡台だの小箱だのがごたごたと乗って、淋しい音をたてて居る六角時計の下に摺鉢に入れた蚊いぶしの杉の青葉がフスフスとえむい煙を這わせて居る中に....
置土産」より 著者:国木田独歩
絹が応えしままだれも対手にせず、叔母もお常も針仕事に余念なし。家内ひっそりと、八角時計の時を刻む音ばかり外は物すごき風狂えり。 『時に吉さんはどうしてるだろう』....
六月」より 著者:相馬泰三
井、天井からぶら下がっている幾つかの電燈、隅々の戸棚、蓋のしてある暖炉、大きな八角時計、晴雨計、寒暖計、掲示板、――壁にはところどころに何者の趣味だか、いや何の....
」より 著者:竹久夢二
子供は、白い小さい床の中で、まだ眠って居りました。 「お起き、お起き」柱に掛った角時計が言いました。「お起き、お起き」そう言ったけれど、よく眠った太郎は何も聞き....
水魔」より 著者:田中貢太郎
服を着た客が来た。岩本はそれに気が注いて、体をねじ向けて帳場の上の柱にかかった八角時計に眼をやった。 「や、もう十時半になった、出かける処がある」 「網を張って....
つゆのあとさき」より 著者:永井荷風
十一時ですね。」と婆《ばば》は隣《となり》の時計の鳴る音を聞きつけ、箪笥の上の八角時計を見上げ、 「旦那、もう一時間お待ちになればいいんでしょう。待ってお上げな....
或る少女の死まで」より 著者:室生犀星
よりも私の注意を惹いたのは、この大きな室内に、非常に正確な、しかも非常に真摯な八角時計が、がさがさな象の背中越しに、チクタク動いているのを見たときに、私はすぐに....
幼年時代」より 著者:室生犀星
あった。母はそういう日は、次の間で縫仕事をしていた。れいの音一つない家の中には八角時計が、カタ・コトと鳴っているばかりであった。父も母も茶がすきであった。二人で....
世間師」より 著者:小栗風葉
ないと聞いた時の、あの無愛相な上さんの顔が思いやられる。 そのうちに、階下の八角時計が九時を打った。それから三十分も経ったと思うころ、外から誰やら帰ってきた気....