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「触る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

触るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
で》た。たといその方の幻術がよく鬼神を駆り使うとも、護法の加護ある老衲には一指を触るる事すらよも出来まい。されば仏力《ぶつりき》の奇特《きどく》を見て、その方こ....
路上」より 著者:芥川竜之介
《らい》が鳴って、ぽつりと冷たい滴《しずく》が頬に触れた。続いてまた一つ、今度は触るまでもなく、際どく角帽の庇を掠《かす》めて、糸よりも細い光を落した。と思うと....
僕の帽子のお話」より 著者:有島武郎
けて見ました。そうしたら、二人ばかりではなく、本棚までも箪笥まで空気と同じように触ることが出来ません。それを知ってか知らないでか、二人は前の通り一生懸命に、泣き....
婦系図」より 著者:泉鏡花
りとも云わず、古新聞がまたがさりともせぬ。 四辺を見ながら、うっかり酸漿に歯が触る。とその幽な音にも直ちに応じて、コロコロ。少し心着いて、続けざまに吹いて見れ....
七宝の柱」より 著者:泉鏡花
の紺地に、清く、さらさらと装上った、一行金字、一行銀書の経である。 俗に銀線に触るるなどと言うのは、こうした心持かも知れない。尊い文字は、掌に一字ずつ幽に響い....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
響くよう、互の口へ出ぬ声は、膚に波立つ血汐となって、聞こえぬ耳に調を通わす、幽に触る手と手の指は、五ツと五ツと打合って、水晶の玉の擦れる音、戦く裳と、震える膝は....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
続いて、編笠した烏と古女房が、衝と幕を揚げて追込んだ事である。 手を掛けると、触るものなく、篠つく雨の簾が落ちた。 と見ると、声のしたものは何も見えない。三....
菎蒻本」より 著者:泉鏡花
う。 可し、神仏もあれば、夫婦もある。蝋燭が何の、と思う。その蝋燭が滑々と手に触る、……扱帯の下に五六本、襟の裏にも、乳の下にも、幾本となく忍ばしてあるので、....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
発かれ、続いて、首を切れと云う。その、しなりと俎の下へ伸びた皓々とした咽喉首に、触ると震えそうな細い筋よ、蕨、ぜんまいが、山賤には口相応、といって、猟夫だとて、....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
途絶えた所在なさに、何心なく、じっと見た若い女房が、遠く向うから、その舌で、頬を触るように思われたので、むずむずして、顔を振ると、短冊が軽く揺れる。頤で突きやる....
縁結び」より 著者:泉鏡花
めに、ハタと睨んだ勇士の面。 と顔を合わせて、フトその腕を解いた時。 小松に触る雨の音、ざらざらと騒がしく、番傘を低く翳し、高下駄に、濡地をしゃきしゃきと蹈....
政談十二社」より 著者:泉鏡花
熱でも出たように、部屋へ下って臥りましたそうな。お昼|過からは早や、お邸中寄ると触ると、ひそひそ話。 高い声では謂われぬことだが、お金子の行先はちゃんと分った....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
、慌しく踵を返すと、坂を落ち下りるほどの間さえなく、帯腰へ疾く附着いて、ぶるりと触るは、髪か、顔か。 花の吹雪に散るごとく、裾も袖も輪に廻って、夫人は朽ち腐れ....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
に見えます、障子|越に日が薄く射すんです。 立って手を伸ばすと、届く。密と手で触ると……動く。……動く瓜の中に、ふと、何かあるんです。」 「――中に――」 ....
式部小路」より 著者:泉鏡花
て、靴を穿いた、肩に画板をかけたのは、いうまでもない、到る処、足の留まる処、目に触るる有らゆる自然の上に、西洋絵具の濃いのを施す、絵を学ぶ向の学生であった。 ....