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触覚
「触覚〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
触覚の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「夢」より 著者:芥川竜之介
した。それから素足《すあし》の指先にそっと絨氈を撫《な》でまわした。絨氈の与える
触覚は存外毛皮に近いものだった。「この絨氈の裏は何色だったかしら?」――そんなこ....
「百合」より 著者:芥川竜之介
いながら、そっと左の芽にさわって見た。赤い芽は良平の指のさきに、妙にしっかりした
触覚《しょっかく》を与えた。彼はその
触覚の中に何とも云われない嬉しさを感じた。
....
「或る女」より 著者:有島武郎
らぬ程度に暖まった空気の中に両手を二の腕までむき出しにして、軟らかい髪の毛に快い
触覚を感じながら、何を思うともなく天井の木目《もくめ》を見やっているのも、珍しい....
「星座」より 著者:有島武郎
。表に「三隅ぬい様」、裏に「星野」とばかり書いてあるその封筒は、滑らかな西洋紙の
触覚を手に伝えて、膚《はだ》ぬくみになっていた。園は淋しく思った。そして気がつい....
「富士」より 著者:岡本かの子
まわす。肩尖、膝頭、臀部、あたま――翁の眼中、一々、その凸所の形に似通う山の姿が
触覚より視覚へ通じ影像となって浮んで来た。 山処《やまと》の ひと本すゝぎ 朝....
「軍用鮫」より 著者:海野十三
はずがなかった。博士は、ただ釣糸の上を伝播してくるひそかなる弦振動に、博士自身の
触覚感を預けていたのであった。 目の下二尺の鯛が釣れようと、三年の鱸《すずき》....
「人造人間殺害事件」より 著者:海野十三
んでいると見せて、その部分に施《ほどこ》されている隠し文身《いれずみ》を、指先の
触覚だけで読みとることを忘れなかった。いや、そればかりではない。あと十二分すれば....
「家霊」より 著者:岡本かの子
のように華やかな職場の上を閃《ひら》めいて飛んだり、男の友だちと蟻の挨拶のように
触覚を触れ合わしたりした、ただそれだけだった。それは夢のようでもあり、いつまで経....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
ひざの上でそれを開いた。 北海道には竹がないので、竹の皮の代わりにへぎのような
触覚だけが冷たく舌に伝わって来る。 君の目からは突然、君自身にも思いもかけなか....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
共通であり、愛にまで直接に飜訳され易いからである。感覚の中でも、実生活に縁の近い
触覚若しくは味覚などに依るよりも、非功利的な機能を多量に有する視覚聴覚の如きに依....
「海底大陸」より 著者:海野十三
自由に動かないとみえる。どう考えても下等動物だね」 「あのふさふさしているのは、
触覚のある鞭毛かと思ってはじめはびっくりしたが、そうじゃない。あれは何の用もしな....
「河明り」より 著者:岡本かの子
様が、揺れ漂い、濤のように飛沫を散らして逆巻き亘っている。徒らな豪奢のうすら冷い
触覚と、着物に対する甘美な魅惑とが引き浪のあとに残る潮の響鳴のように、私の女ごこ....
「地球要塞」より 著者:海野十三
つぜん聞える足音の主は、一体何者ぞ! 意外なる闖入者《ちんにゅうしゃ》――
触覚《しょくかく》をもった謎の男 私は、夢を見ているのではなかろうかと疑った。....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
女の柔い掌の堪え、そして、かつてカテリイヌを新吉が抱えたときのあの華やかな圧迫。
触覚の上に烙きつけられた昔の記憶が今、自分が手を置いて居る若い娘の潤った肩の厚い....
「巴里のキャフェ」より 著者:岡本かの子
ら出て来たものだ。ニコチン中毒で冷たく乾燥した手の掌を頭の毛に摺りつけては、その
触覚を取戻そうと努めながら口の中でいっている。 「十一番、十一番、十一番、十一番....