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触角
「触角〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
触角の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「檸檬」より 著者:梶井基次郎
った。二銭や三銭のもの――と言って贅沢なもの。美しいもの――と言って無気力な私の
触角にむしろ媚《こ》びて来るもの。――そう言ったものが自然私を慰めるのだ。 生....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
に眠りつづけていた。しかし艦内の一角では、極超短波による秘密無線電話機が、鋭敏な
触角を二十四時間、休みなしに働かせて、本国からの指令を、ひたすら憧れていた。 ....
「河明り」より 著者:岡本かの子
ただ河面を眺め乍ら、張り亘った意識の中から知らず知らず磨き出されて来る作家本能の
触角で、私の物語の娘に書き加える性格をゆくりなく捕捉できるかも知れない。私のこの....
「わが町」より 著者:織田作之助
枝の腑に落ちていたのだった。 無智な他吉は、理屈がうまく言えず、ただもう蝸牛の
触角のように本能的な智慧を動かして、君枝を育てて来たのだが、それで、それなりに、....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
虫が、雌蕊を分けて飛び出した。と、花粉が空へ舞い、砂金のように四散した。 細い
触角を顫わせながら、しばらく羽虫は宙を舞ったが、ちょうど小船を導くように、水路を....
「火星探険」より 著者:海野十三
いた。それからたいへん奇妙なことに、頭のてっぺんに根きり蟲が持っているような長い
触角らしいものが二本だか三本だか生えていて、それは非常に柔軟に見え、そしてさかん....
「地球要塞」より 著者:海野十三
《せんすいかぶと》とちがっているのは、その頂天《てっぺん》のところに、赤い一本の
触角《しょくかく》のようなものが出ていて、これがたえず、ぷりぷりと厭《いや》な顫....
「宇宙戦隊」より 著者:海野十三
そばへとんでいった。そのときふしぎな光景が見られた。ココミミ君の頭の上に出ている
触角が、にゅうっと一メートルばかり伸び、長い鞭のようになった。つぎにその鞭のよう....
「火星兵団」より 著者:海野十三
いていることだった。いや、角というよりも、蝶や甲虫などの昆虫類が頭部に持っている
触角に似ていて、しきりにそれが動くのであった。
「不思議な動物じゃないか」
新....
「大宇宙遠征隊」より 著者:海野十三
して二本の鞭のようなものが生えていて、釣竿のように、だらんと下っているが、昆虫の
触角と似ていて、月の世界で、われわれ同志が話をするのには、なくてはならない仕掛け....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
の白い美童だが、疳の虫のせいであろう、……優しい眉と、細い目の、ぴりぴりと昆虫の
触角のごとく絶えず動くのが、何の級に属するか分らない、折って畳んだ、猟銃の赤なめ....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
は、まったく静寂であった。密雲が北西の方から押し寄せて来て、その雲の投げたあらい
触角が、月の面を横ぎって流れていた。月はこの雲間を透して時どきに照るのである。船....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
ねはねたが、指の間から畳の上へ飛んで、そこでようすでも窺うかのように、例によって
触角を空でふるわせた。
戸外では風の音がする。
風の音を縫って虫の声がする。....
「変身」より 著者:カフカフランツ
っていたが、下にいるグレゴールのまわりは暗かった。今やっとありがたみがわかった。
触角でまだ不器用げに探りながら、身体をのろのろとドアのほうへずらしていって、そこ....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
いて、なんと長閑なそのまるい眼だ。おりおり岩菊の蕊を覗き込む、 蟻の黒い大きな
触角が動く。 と、すばらしく拡大された幼獣のなめらかな黒い頭と前肢の両つの鰭と....