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「言い難い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

言い難いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
岩石の間」より 著者:島崎藤村
われば》が李《すもも》の種について出て来る。彼は地から直接《じか》に身体へ伝わる言い難い快感を覚えた。時には畠の土を取って、それを自分の脚《あし》の弱い皮膚に擦....
最終戦争論」より 著者:石原莞爾
力を失うのである。 即ち土地の広漠な東洋に於ては、両戦争の時代性が明確であると言い難いが、強国が相隣接し国土も余り広くなく、しかも覇道文明のために戦争の本場で....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
三十がらみの藩士です。 「よし、引こう! 引いてやろうよ」 「ならば拙者も――」言い難い誘惑だったに違いない。それをきっかけに二人三人とつづいてあとから列を割っ....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
立ち止まって、風のごとく、靄のごとくに、ふわりふわりとさ迷いつつ行くあたり、得も言い難い仙骨が漂って、やはりどことはなしに千二百石直参旗本の気品と気慨の偲ばれる....
」より 著者:島崎藤村
こうとした。この娘の癖で、どうかすると叔父の顔に近く自分の処女らしい顔を寄せて、言い難い喜悦の情を表わそうとした。お仙は二十五六に成るとは見えなかった。ずっと若....
思案の敗北」より 著者:太宰治
ほんの少し書いてみる。私は、この友人を大事に、大事にしていた。気がひけて、これは言い難い言葉であるが、「風にもあてず」いたわって育てた。それが、私への一言の言葉....
二少女」より 著者:国木田独歩
あんまりお気の毒さまで……」 お秀は眼に涙一杯含ませて首を垂れた。お富は何とも言い難い、悲しいような、懐かしいような心持がした。 夜が大分更けたようだからお....
死者の書」より 著者:折口信夫
る程、ぎょっとした。其が、何だと言われずとも、すべての心が、一度に了解して居た。言い難い恐怖にかみずった女たちは、誰一人声を出す者も居なかった。 身狭乳母は、今....
文学に現れたる東北地方の地方色」より 著者:佐左木俊郎
のような紀行記ではあり、芭蕉の主観があまりに勝ち過ぎていて、地方色が出ているとは言い難いのであります。遠く『日本書紀』や『万葉集』や『古今集』などにも、既に東北....
歴史的探偵小説の興味」より 著者:小酒井不木
まり、ヴェールを通して物を眺めるような、或は股のぞきをして景色を見るような一種の言い難い美感を読者に与えることが出来るからであろう。サバチニはよく西班牙あたりを....
「マリー・ロオジェ事件」の研究」より 著者:小酒井不木
のであるから、ポオの結論は、決してメリー・ロオジャース事件の真相を伝えたものとは言い難い。 然らば、メリー・ロオジャース事件の真相は何であるかというに、もとよ....
澪標」より 著者:外村繁
を向ける。看護婦と視線が合う。熱っぽく濡れているような黒目である。清潔な視線とは言い難い。しかし私は殊更その視線を避けようとはしない。漸く看護婦の方が視線を外す....
特殊部落の人口増殖」より 著者:喜田貞吉
千六百二十七人の増加を見るに過ぎなかったのである。勿論この統計は、決して正確とは言い難いものであろうが、当時宗門改めのやかましかった時代であるから、案外信用する....
知らずや肝の美味」より 著者:北大路魯山人
子がまた格別美味いというのは、はもだけである。かわはぎの魚体は、さまで美味いとは言い難いが、しかし、その肝に至っては並々ならぬ特別の美味さを有っている。これあっ....
戦争史大観」より 著者:石原莞爾
殲滅戦略だと言うらしいが、我らの考えならば潜水艦戦は厳格な意味に於て殲滅戦略とは言い難い。 露国の崩壊によって一九一八年西方に大攻勢を試みたルーデンドルフはこ....