言捨て[語句情報] »
言捨て
「言捨て〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
言捨ての前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「旧主人」より 著者:島崎藤村
《たた》いて笑いながら、 「好《いい》御主人を持って御仕合《おしあわせ》」 と
言捨て逃げる拍子に、泥濘《ぬかるみ》へ足を突込む、容易に下駄の歯が抜けない様子。....
「家」より 著者:島崎藤村
場前の茶屋に寄っていらっしゃるんですッて」 「行って見て来るかナ」 こう三吉は
言捨てて、停車場の方を指して急いだ。 茶屋には、曾根が二人の連と一緒に休んでい....
「浮雲」より 著者:二葉亭四迷
「叔母さんは」 「先程《さっき》お嬢さまと何処《どち》らへか」 「そう」 ト
言捨てて高い男は縁側を伝《つたわ》って参り、突当りの段梯子《だんばしご》を登ッて....
「火星兵団」より 著者:海野十三
、その時、佐々は何かの音におどろき、
「じゃあ、また後で、もう一度来る!」
と
言捨てたまま、新田先生をそこにおいて出て行ってしまった。
穴の中は、またもとの....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
けだ。 (可愛い人だな、おい、殺されても死んでも、人の玩弄物にされるな。) と
言捨てに突放す。 (あれ。)と云う声がうしろへ、ぱっと吹飛ばされる風に向って、砂....
「琵琶伝」より 著者:泉鏡花
問いぬ。 新婦は凄冷なる瞳を転じて、介添を顧みつ。 「何。」 とばかり簡単に
言捨てたるまま、身さえ眼をさえ動かさで、一心ただ思うことあるその一方を見詰めつつ....
「先生の顔」より 著者:竹久夢二
にいくと好いわ。そんなきたない花を先生はお喜びになるかもしれないわ。あばよ」そう
言捨てて光子は行ってしまった。 あとに残された葉子は橋の欄干にもたれて、じっと....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
いえば、正月か祭の時ででもなければ誰の家でも持たぬという、なるたけ早く帰りますと
言捨てて、猿の如く麓を目がけて走り去った。 秋の西山一帯は、午後三時の日光をう....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
―さっさと笈ずるの側へゆき、印可の巻をその笈の内へ納めると、
「おさらば」
一
言捨てて、たったと彼方へ立ち去ってしまった。
後見送って――
「ハハハハ、憤っ....