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許りに
「許りに〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
許りにの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「人間失格」より 著者:太宰治
るばかり どうにもできない只まごつくばかり 抑え摧《くだ》く力も意志も授けられぬ
許りに どこをどう彷徨《うろつき》まわってたんだい ナニ批判 検討 再認識? ヘ....
「姪子」より 著者:伊藤左千夫
、こうこうと鞴の音をさして居た、見ると兼公の家も気持がよかった、軒の下は今掃いた
許りに塵《ちり》一つ見えない、家は柱も敷居も怪しくかしげては居るけれど、表手《お....
「失楽園殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
、その室だけには、窓に鎧扉が附いていた。その二重扉の内側には、堕天女よ去れ――と
許りに下界を指差している、※利天の主帝釈の硝子画が嵌まっていた。 そして扉の前....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
「逃れるとは何を逃れるのです、罪もないのに」余「イヤ、探偵森主水が貴女を捕縛する
許りに成って居るのをヤット私が二日だけ猶予を請うたのです、二日の間に私は貴女の清....
「大阪夏之陣」より 著者:菊池寛
が何の代償もなしに、大事な濠を潰すわけはないのである。 「大阪の城堀埋り、本丸|
許りにて浅間と成り、見苦敷体にて御座候との沙汰にて御座候」 と、正月二十日附で....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
下さい」 「浅田さん――」 「この通りです、奥さん」 浅田は畳に額をすりつけん
許りに両手をついて頭を下げた。 「まあ、そんな事をなすっては困ります」 「私はあ....
「大衆文芸作法」より 著者:直木三十五
よいのだ。背後へ引こうとしていながら、同じ所から動かない。……とうとう距離は三尺
許りになった。あのお方が腹ばって行かれたからだ!」 そういう武士の後姿を、仲間....
「風流仏」より 著者:幸田露伴
足らず、是はと驚きて能々見るに、我身万一の時お辰引き取って玉わる方へせめてもの心
許りに細き暮らしの中より一銭二銭積み置きて是をまいらするなりと包み紙に筆の跡、読....
「「平家物語」ぬきほ(言文一致訳)」より 著者:作者不詳
なったりして居る。そうしてさんざん動したあげく人間は段々やせてしまいには骨とかわ
許りになってしまう。そうすると運命の握権者は「ようやっとこれで一人かたづいた。又....
「元禄時代小説第一巻「本朝二十不孝」ぬきほ(言文一致訳)」より 著者:井原西鶴
けをきいて買う人がないので暮しかね朝の露さえのどを通す事が出来ないでもう今は死ぬ
許りになってしまった。花の様な美しかった形はもうどこかに行ってしまった様になって....
「田原氏の犯罪」より 著者:豊島与志雄
に帰って来た。彼は着物も更めないでそのまま田原さんの所へ来て、頭を畳にすりつけん
許りにしてお辞儀をした。 「子供が病気だそうだね。」 「はい。」と広田はただ答え....
「血液型殺人事件」より 著者:甲賀三郎
けば、こちらから積極的に尋ねかけて、委しい話を聞いたものを、私がぼんやりしていた
許りに、引続いて起る悲劇を防ぐ事の出来なかったのは、実に遺憾極ることではあった。....
「昨日・今日・明日」より 著者:織田作之助
ず、お前たちの生命は俺のものだという意味の、愚劣な、そしてその埋め合わせといわん
許りに長ったらしい、同じ演説を、朝夕二回ずつ呶鳴り散らして、年中声が涸れ、浪花節....
「消えた霊媒女」より 著者:大倉燁子
ょうし、中にはまた貴い身分のお方が有名な美人だったある公使夫人にお会いになりたい
許りに、坊さんに扮して公使館を訪ね、夫人の手からお布施を貰われたというような話も....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
昨日降りた岩の斜面を一息に登って、浄土山頂の一角に立った。濃い菫青の空は溢れる
許りに充ち亘った、美しい光の波に洗われて、鮮かに冴えている。紫を含んだ溌藍の山は....