詩興[語句情報] »
詩興
「詩興〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
詩興の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「武蔵野」より 著者:国木田独歩
自然とを配合して一種の光景を呈《てい》しおる場処を描写することが、すこぶる自分の
詩興を喚《よ》び起こすも妙ではないか。なぜかような場処が我らの感を惹《ひ》くだら....
「草枕」より 著者:夏目漱石
年来の旧知己である。見詰めているとしだいに気が遠くなって、いい心持ちになる。また
詩興が浮ぶ。 寝ながら考える。一句を得るごとに写生帖に記《しる》して行く。しば....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
在してるだろう。かの微妙な旋律に共鳴した私の情調、かの蒼く顫える星に翔り行く私の
詩興、これらすべては杳として空に帰すのであろうか。そればかりではない。われらを載....
「大橋房子様へ」より 著者:宮本百合子
感じられるのは、非常に私の感興をそそりました。 きっと貴女の持っていらっしゃる
詩興、詩趣によるものでしょう。結婚と云うものに対し、愛の発育と云うものに対し、抱....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
て駒井は茂太郎に数理を教える。茂太郎自身としては方円の器《うつわ》に従いながら、
詩興そのものは相変らず独特で、調律と躍動そのものは、例によっての出鱈目です。誰も....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
《ひ》をともしはじめた古駅の情調と、行き交う人の絵のようなのと、綿々たる追分節が
詩興をそそるのに、道庵先生が夢心地になりました。 「あの、お連れさんをお迎えに出....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
の裙《もすそ》) それから白雲が随って画けば、玉蕉が随って賛をする――二人が
詩興画趣のうちに全く陶酔して行くのはやむを得ないことですが、 オイセとチョウセ....
「菜の花物語」より 著者:児玉花外
い按摩笛が吹かれている。私はこんな大和路の古い街にも住む按摩が、奇妙にも懐かしく
詩興を深く感じた、そこで、早々二階へ呼上げたら彼れは盲人の老按摩であった。 蒲....
「巷の声」より 著者:永井荷風
去る時燕の来るが如く、節序に従って去来するものは、今の世に在っても往々にして人の
詩興を動かす。遅桜もまだ散り尽さぬ頃から聞えはじめる苗売の声の如き、人はまだ袷を....
「日和下駄」より 著者:永井荷風
おいてもまた変る処がない。私は今近世の社会問題からは全く隔離して仮に単独な絵画的
詩興の上からのみかかる貧しい町の光景を見る時、東京の貧民窟には竜動《ロンドン》や....
「向嶋」より 著者:永井荷風
寺《せんそうじ》の塔尖を望み上流の空|遥《はるか》に筑波の山影を眺める時、今なお
詩興のおのずから胸中に満ち来るを禁じ得ない。そして恨然《ちょうぜん》として江戸|....