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詰まる
「詰まる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
詰まるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
後に物おじする様子の乳母《うば》が葉子の前に来て腰をかがめた。葉子はとうとう行き
詰まる所まで来たような思いをしながら、振り返って古藤を見ると、古藤は依然として手....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
この家族を安心させるためであったが、もし出来ない返事が来たらどうしようと、心は息
詰まるように苦しかった。 「………」吉弥もまた短い手紙を書きあげたのを、自慢そう....
「鞄らしくない鞄」より 著者:海野十三
とかいって、博士の足を指した。 田鍋課長は先刻から愕《おどろ》きの連続で、息が
詰まる想《おも》いだった。かねて怪しいと睨《にら》んでいた小山すみれが、博士の首....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
の指針が、気のせいか微《かす》かに慄《ふる》えているようだ。 余震なき地震 息
詰まる緊張の幾秒が尚《なお》も続いた。 しかし想像したような愕くべき何事も遂に....
「蠅男」より 著者:海野十三
探偵に向って近付いて来るのであった。 雨か嵐か、はた雷鳴か。怪人と侠青年との息
詰まるような睨み合いが続いた。 「勝負は貴様の負だッ。こうなれば観念して、潔く降....
「夜泣き鉄骨」より 著者:海野十三
いついて来るのであった。 電纜工場の入口を一歩入ると、凄惨極まりなき事件の、息
詰まるような雰囲気が、感ぜられるのだった。皎々たる水銀灯の光の下で仕事をする人々....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
霞の気が長い睫毛を連ねて人に匂いかかることを。 眉へ来て、わたくしは、はたと息
詰まる気がする。それは左右から迫り過ぎていて、その上、型を当てて描いたもののよう....
「家霊」より 著者:岡本かの子
敬虔な気持とが、その後のくめ子の胸の中を朝夕に縺《もつ》れ合う。それがあまりに息
詰まるほど嵩《たか》まると彼女はその嵩《かさ》を心から離して感情の技巧の手先で犬....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
理をさせようと、女中に呼びにやらして、自分は出て行った。 復一に、何となく息の
詰まる数分があって、やがて、応接間のドアが半分開かれ、案外はにかんだ顔の真佐子が....
「鮨」より 著者:岡本かの子
じた。 子供はまた、ときどき、切ない感情が、体のどこからか判らないで体一ぱいに
詰まるのを感じる。そのときは、酸味のある柔いものなら何でも噛んだ。生梅や橘の実を....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
起りました。 その朝は、まだかなり早かった。野も人里も深い雪をかむって、息さえ
詰まるようでありました。東の空から明け初めて、寝呆けたような鴉の声と五位鷺の声と....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
はいつの間に消滅していて落下か上騰か不明の運動に慧鶴の精神も肉体も支配され、息も
詰まるばかりの緊張で宇宙のどこかに放たれ飛んで行った。 夏の初めから夏安居に入....
「明暗」より 著者:岡本かの子
っても表われて智子に頼母しくも暗い思いをさせるのであった。 大たい晩春もずっと
詰まる頃までの二人の生活は前へ前へと進んで行く好奇心や驚異やそれらのものが三木雄....
「画工と幽霊」より 著者:岡本綺堂
は更に別条なく、また他から瓦斯の洩れるような様子もない、けれども、何分にも呼吸が
詰まるような心持で、終局には眼が眩んで来たから、兎にかく一方の硝子窓をあけて、そ....
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
けの金を持って来る」 「ほんとうざますか」 「嘘はつかない」 次郎左衛門は息が
詰まるほどに苦しくなった。今までは八橋が自分をだましていたのであるが、今は自分が....