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「誇称〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

誇称の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
春の盗賊」より 著者:太宰治
るが、わざと窓にカアテンを取り附けず、この朝日の直射を、私の豪華な目ざまし時計と誇称して、日光の氾濫と同時に跳ね起きる。早起は、このようにして、どうやら無事であ....
女類」より 著者:太宰治
、れいの抜け目の無い、自分で自分の顔の表情を鏡を見なくても常に的確に感知できると誇称している友人、兼、編輯部長に連れられて、新橋駅のすぐ近くの川端に建って在るお....
風の便り」より 著者:太宰治
だ、と申し上げても、それは決して私の卑屈な、ひがみからでも無し、不遇《ふぐう》を誇称して世の中の有名な人たちに陰険ないやがらせを行うというような、めめしい復讐心....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
したから、仙次の腕やいかにと静かにその体へ目を配りました。見ると、浪花表の凶賊と誇称されている八つ化け仙次も、江戸まえの捕物名人むっつり右門の目にかかってはまこ....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
差し出した紙片を受取りながら、老いたる白髯《はくぜん》の観相家は、自ら阿部流と誇称する通り、あたかも阿部の晴明の再来ででもあるかのごとく、いとも厳粛に威容を取....
光と風と夢」より 著者:中島敦
らと、極端な写実を喜ぶ人達からと、である。 性格的|乃至《ないし》心理的小説と誇称する作品がある。何とうるさいことだ、と私は思う。何の為にこんなに、ごたごたと....
科学論」より 著者:戸坂潤
でもなくその適用範囲は広くない。之を研究様式とするということは、数理経済学などの誇称を論外とすれば、だから初めから殆んど絶望で、そうした企ては多く極めて無内容に....
日本イデオロギー論」より 著者:戸坂潤
している。近代性が即ち原始化だという復古主義のこの矛盾は、一見歴史的であることを誇称することによって却って歴史を無視するという矛盾になって現われる。伝統主義はや....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
らで掻きみだし、鳥族のごとく空を流れるさえあるに、あまつさえそれを近代的だなぞと誇称して蓮葉になっているうちに、これだけでも冒涜、不遜、そのうえ人は誰でももろも....
再び科学的精神について」より 著者:戸坂潤
さきに触れた。その発達史的認識の欠如そのものを、却って教学の歴史観的本性だとして誇称せしめるものは、他ならぬ教学に於ける文献学主義だったのである。教え学ぶのは専....
読書子に寄す」より 著者:岩波茂雄
大量生産予約出版の流行を見る。その広告宣伝の狂態はしばらくおくも、後代にのこすと誇称する全集がその編集に万全の用意をなしたるか。千古の典籍の翻訳企図に敬虔の態度....
岩波文庫論」より 著者:岩波茂雄
「近時大量生産予約出版の流行を見る。その広告宣伝の狂態は姑く措くも、後代に貽すと誇称する全集が其編集に万全の用意をなしたるか。千古の典籍の翻訳企図に敬虔の態度を....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
いた。その相場が狂って、川上一座が堂々と歌舞伎座へ乗込んで来たのである。日本一と誇称する歌舞伎座へ乗込んで来たのである。それが他の大劇場であったならば、さのみの....
時勢と道徳観念」より 著者:喜田貞吉
眼前の事実だ。切取強盗は武士の習いとして憚らない時代もあった。自分で海賊大将軍と誇称して威張ってみた時代もあった。名誉の強盗、いみじき盗賊の語は、むかしの物語物....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
、天然の嶮によりて世界と隔絶し、別に一|乾坤をなして自ら仏陀の国土、観音の浄土と誇称せるごとき、見るべきの異彩あり。その風物習俗の奇異、耳目を聳動せしむるに足る....