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「誘因〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

誘因の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
狂言の神」より 著者:太宰治
う不思議の罪名であった。そのときの、入水の場所が、江の島であった。(さきに述べた誘因のためにのみ情死を図ったのではなしに、そのほかのくさぐさの事情がいりくんでい....
人間失格」より 著者:太宰治
、多くの女性に、本能に依って嗅《か》ぎ当てられ、後年さまざま、自分がつけ込まれる誘因の一つになったような気もするのです。 つまり、自分は、女性にとって、恋の秘....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
だけ囁きたい。心の奥底では、私はどうかして私を偽善者から更に偽善者に導こうとする誘因を避けたい気持がないではなかったということを。それを突き破るだけの強さを持た....
演技指導論草案」より 著者:伊丹万作
おりはれものにさわるような繊細な心づかいを要する。なかんずく俳優が自信を喪失する誘因になるような言動は絶対に慎しまなければならない。 演技指導とは俳優を侮辱す....
黄鳥の嘆き」より 著者:甲賀三郎
われた時に病気が発生したのではなくて、発生そのものは遠い以前にあって、適々何かの誘因で、それが突然現われるものであることは、多くの人の知っていることだが、僕のは....
仮装人物」より 著者:徳田秋声
スリルを感ずることもあったが、子供を信じようとした。小夜子の場合も、庸三自身その誘因を成しているとも言えるのであった。子供たちはみんな一様に母性愛に渇いていた。....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
切の趣味は炉辺に群がると云っても好い。炉の焚火、自在の鍋は、彼が田園生活の重なる誘因であった。然し彼が吾有にした十五坪の此草舎には、小さな炉は一坪足らぬ板の間に....
科学と文学」より 著者:寺田寅彦
ゆる科学小説は、たいていは科学者にはばからしく、素人には科学に対する重大な誤解の誘因ともなりうるのである。 これに反して科学者が科学者に固有な目で物象を見、そ....
大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
ちている。 私が美校にいた時分など、夏、冬、春の休みには必ず関西へ帰った。その誘因は大和の春、奈良の秋の思出に他ならなかったという位のものだ。全く、関東の何処....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
ろであると告白しているように見える夫婦だった。このほかそこには、モンテ・カアロの誘因の一の鳩射撃の世紀的大家、歯と襯衣の白い小|亜細亜生れのヴィクトル・アリ氏が....
古典竜頭蛇尾」より 著者:太宰治
らであると世人は言う。ピンポン大学の学生であるという矜持が、その不思議の現象の一誘因となって居るのである。伝統とは、自信の歴史であり、日々の自恃の堆積である。日....
オランウータン」より 著者:豊島与志雄
にせよ、母の温かい愛というものとは、違うのだ。稲荷様の祈祷所の前に蹲った気持は、誘因は何であろうと、そんなものではない。殊に、座敷牢の格子の中に坐ってる気持は、....
安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
ネからズルズルと衰弱にひきこまれている場合もあるでしょう。しかし、それが精神病の誘因であったにしても、要するに、なにか生理的な故障が起らなければ、幻視も幻聴もで....
チェーホフの短篇に就いて」より 著者:神西清
そこで、或る病患に加えられる一つのタッチは、例えばジフィリスのような直接的な誘因に触れるのみならず、その他様々の複雑な文化的要因にも触れ、したがっては時代の....
妖怪玄談」より 著者:井上円了
起こる夢のごときも、脳髄を組成せる物質の事情によるはもちろん、その他種々の外界の誘因ありて生ずるや疑いをいれず。これ、いわゆる外界の事情によるものなり。 右の....