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「語弊〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

語弊の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
羅生門」より 著者:芥川竜之介
対するはげしい憎悪が、少しずつ動いて来た。――いや、この老婆に対すると云っては、語弊《ごへい》があるかも知れない。むしろ、あらゆる悪に対する反感が、一分毎に強さ....
思い出す事など」より 著者:夏目漱石
に横《よこた》わる重い影でもなかった。魂が身体《からだ》を抜けると云ってはすでに語弊がある。霊が細《こま》かい神経の末端にまで行き亘《わた》って、泥でできた肉体....
思想と風俗」より 著者:戸坂潤
どうしたら世間の大人にとっても必要なものにすることが出来るか、ということだ。少し語弊はあるが、そういえば端的だと思う。 やがて批評形式の論議は一転して、文芸時....
道徳の観念」より 著者:戸坂潤
に印象づけた。その歴史的意義は之を尊重し又利用すべきだろう。――もし多少の歴史的語弊を忍ぶとすれば、道徳に関する文学的観念は、正にこのモラリスト的な道徳観念だと....
読書法」より 著者:戸坂潤
神とはエスプリで、情熱とはパッションのことであるが、情熱を情念と訳した方が或いは語弊が少なかったのではないかとも思う。日本の文士の間では情熱というものは、云わば....
日本イデオロギー論」より 著者:戸坂潤
処でこの対社会的な能動性乃至積極性がインテリ独特のものだとする処から、現に一種の語弊が生じつつあるのが見受けられる。 と云うのは、インテリが社会に向って、どう....
思想としての文学」より 著者:戸坂潤
るとすれば、その社会の上に道徳がある、と仮に云ってもいいと思う。道徳というと色々語弊があるが、例えば社会的習俗や人倫関係、社会的訓練や習慣は、「社会」の方に含ま....
世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
の内容の批判者としての彼ではなくて、文化の形式的な最高標準としての彼である。多少語弊はあるが、天才としての彼ではなくて、秀才としての彼なのである。 漱石が天才....
科学と科学の観念」より 著者:戸坂潤
が(科学内容の夫々ではない)政治的な観念となる、またなっている、ということには、語弊もあり又事実上の弊害をも伴うかも知れないが、併し何と云っても之は科学そのもの....
道連」より 著者:豊島与志雄
がしたものだよ。その代り僕の方でも、同級の或る男に目をつけていた………と云っちゃ語弊があるが、まあその男に好感を持ってたものだ。向うでも僕に好感を持ってることが....
蜘蛛」より 著者:豊島与志雄
論である。都会人的な巧妙さと精緻さとでは、大きな仕事は成されない。野性と云うのに語弊があるならば、大地の中に根を張ってつっ立ってる力とでも云うような、何かしら人....
阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
上には見えないが、たいていおつかつの偉さくらいに思われていたといっても、さしたる語弊はなかろう。 そうこうする中にこの阿Qの評判は、たちまち未荘の女部屋の奥に....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
急死に縁の深い甚八にもぜひその席につらなっていただきたい。急死に縁が深いといえば語弊があるが、二十一周忌という昔話になれば、あれもこれもなつかしいばかり。仏もさ....
次郎物語」より 著者:下村湖人
んな反発でますます悪くなって行くだろう。あんな話を、相手にしない、――といっては語弊があるが、冷静に批判しながら聞くような国民がもっと多くならないと、日本は助か....
斎藤緑雨」より 著者:内田魯庵
た左側の路次裏の何とかいう下宿へ移ってから緑雨は俄に落魄れた。落魄れたといっては語弊があるが、それまでは緑雨は貧乏咄をしても黒斜子の羽織を着ていた。不味い下宿屋....