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誤り
「誤り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
誤りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
、弟を見上げすぎたというよりも、沙金のみだらな媚《こ》びのたくみを、見下げすぎた
誤りだった。ひとり次郎ばかりではない。あの女のまなざし一つで、身を滅ぼした男の数....
「春」より 著者:芥川竜之介
の体の発散する匂は干《ほ》し草《くさ》に似ているような気がし出した。彼女の経験に
誤りがなければ、干し草の匂のする男性はたいてい浅ましい動物的の本能に富んでいるら....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
は妖魔の類《たぐい》、釈教は堕獄の業因《ごういん》と申したが、摩利信乃法師一人の
誤りか。さもあらばあれ、まだこの上にもわが摩利の法門へ帰依しょうと思立《おぼした....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
とにこの水の音をなつかしく聞くことのできるのは、渡し船の中であろう。自分の記憶に
誤りがないならば、吾妻橋《あづまばし》から新大橋までの間に、もとは五つの渡しがあ....
「青年と死」より 著者:芥川竜之介
からだ。しかし己はすべてのお前の行為を是認してはいない。よく己の顔を見ろ。お前の
誤りがわかったか。これからも生きられるかどうかはお前の努力次第だ。
Aの声 己に....
「少年」より 著者:芥川竜之介
残酷《ざんこく》な現実を承認した。海を青いと考えるのは沖だけ見た大人《おとな》の
誤りである。これは誰でも彼のように海水浴をしさえすれば、異存のない真理に違いない....
「片信」より 著者:有島武郎
の多分の人々の感情にまではいりこむことができるだろうか。それを実感的にひしひしと
誤りなく感ずることができるだろうか。そして私の思うところによれば、生命ある思想も....
「星座」より 著者:有島武郎
かったのだ。徂徠が野にいたのも、白石が官儒として立ったのも、たんなる表面観察では
誤りに陥《おちい》りやすいことを論定したかった。この事業は清逸にとってはたんなる....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
卑屈となり、狡智となり、魯鈍となる。 かかる言葉に依頼して私はどうして私自身を
誤りなく云い現わすことが出来よう。私は已むを得ず言葉に潜む暗示により多くの頼みを....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
ていたために、決して科学向きにはなっていなかった。そうして聖典コーランこそ完全に
誤りのない典拠だということになっていたのである。しかし本来から言えばマホメットの....
「新日本の進路」より 著者:石原莞爾
兩國家群の間に行われるであろうと豫想した見解は、甚しい自惚れであり、事實上明かに
誤りであつたことを認める。また人類の一員として、既に世界が最終戰爭時代に入つてい....
「土俗玩具の話」より 著者:淡島寒月
一 玩具と言えば単に好奇心を満足せしむる底のものに過ぎぬと思うは非常な
誤りである。玩具には深き寓意と伝統の伴うものが多い。換言すれば人間生活と不離の関....
「森先生」より 著者:芥川竜之介
あり。おや、先生だったかと思いし時は、もう斎場へ入られし後なりき。その時先生を見
誤りしは、当時先生の面の色黒からざりし為なるべし。当時先生は陸軍を退かれ、役所通....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
頃には、これでもう度量の狭い、妬み深い俗の世界は跡にしたと思っておったが、これは
誤りで、智識は高くなっても、やはり人間の弱点や利己心は消えぬものだということを悟....
「三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
様という方なのだ。さあ、こう申したら、お前もさぞ驚くだろうが、ちょっとした殿のお
誤りから、あのお子が悪者の手にかかってお果てなされなければならない破目に立到った....