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誤認
「誤認〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
誤認の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「灯台鬼」より 著者:大阪圭吉
つづけて来た北海帰りの汽船は、毎三十秒に一閃光を発するその怪しげな灯質をうっかり
誤認して、うれしや犬吠崎が見えだしたとばかり、右舷に大きく迂回しようものなら、忽....
「近時政論考」より 著者:陸羯南
しところのものを一括せしに過ぎず。著者講究の粗漏よりして、あるいは諸論派の本旨を
誤認せしものなきにあらざるべし。識者誨教を惜しむなかれば幸甚のみ。 一、本篇もと....
「蜘蛛」より 著者:甲賀三郎
て戸外に飛びだしたのは、まったく足許にはいよったある種の蜘蛛をみて、毒蜘蛛とでも
誤認したためとしか思われないし、その蜘蛛は毒蜘蛛でもなんでもなく、
誤認したのは潮....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
し置きたる扇面を行幸の途上において叡覧に備わらんことを欲し、みだりに供奉の乗車と
誤認し、投進せしに、御の車駕に触る。右は衝突|儀仗の条をもって論じ、情を酌量して....
「肝臓先生」より 著者:坂口安吾
小舟のみが海上を漂うことのいかに冒険であったことか。敵機がこれを軍事的な何物かと
誤認することは当然だった。 私は茫然として為す術を失い、ただ先生の姿を待って海....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
ばかり住んでいるところで、人界でもあることだが仮死の状態の人間をうっかり死んだと
誤認して墓に持ってくることがある。それとそっくり同じで沙漠の暴風が一晩吹いて、砂....
「歌の円寂する時」より 著者:折口信夫
ぜられる。ともかくも、この手を抜く手法から来る散文に近い印象を、或は一種の兆しと
誤認して居るのではあるまいか、と案じている。茂吉風・文明風が、今後「アララギ」の....
「水垢を凝視す」より 著者:佐藤垢石
へ溯上している。水垢を見ることに研究のつまない人は、『はたなめ』を『居付なめ』と
誤認するものであるから、そこはよく注意せねばならないことだ。そして、溯上の道中に....
「人工心臓」より 著者:小酒井不木
たのです。その鳴り音をモルヒネの作用によって、人工心臓から生じた安楽の世界として
誤認させられたに過ぎませんでした。咯血はコップに三杯ばかりで止みましたが、恐怖心....
「妖怪談」より 著者:井上円了
談妙話。その写実をやや全からしめざるは、深く余の遺憾とするところ。読者諸君請う、
誤認の責、羅して余が筆にあり、これをゆるせよ、これをゆるせよ。 出典 『教の友』....
「迷信解」より 著者:井上円了
の体内に空洞ありて、これに梟のごとき鳥が巣を作り、その中にてうなり声を発するのを
誤認したるものなれば、誤怪の一種に相違ない。また、古来伝うるところに釜鳴りの怪の....
「素人製陶本窯を築くべからず」より 著者:北大路魯山人
人々にしても所詮は出来ない相談である。これらはいずれもが、漫然出来得ると軽率にも
誤認し、それを空しく求めているだけだと、私の常識と経験はいつでも断言を吝まないの....
「味覚馬鹿」より 著者:北大路魯山人
* 誰でもふつうに、商売人の手になった料理は、美味いものかのように考えるが
誤認である。なるほど、商売人は料理の玄人である。しかし、玄人はいろいろの条件にお....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
た。彼女の手にかかった他のあらゆる犠牲者と同様に、彼もまた、彼女の性格をぜんぜん
誤認していたことに、あまりにも遅く気がついた。あまりにも遅く、彼女を支配しようと....
「味を知るもの鮮し」より 著者:北大路魯山人
いうわけにはいかないから、その辺注意深く考える必要がある。ことにみながやさしいと
誤認している日本料理は、実はむずかしくて容易に究められるものではないから、従って....