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「誰人〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

誰人の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
ると、遠光は苦《にが》い顔をして言った。 「唯今は宇治の左大臣殿御参詣でござる。誰人《たれびと》にもあれ、山門の内へ罷《まか》り通ること暫く御遠慮めされ」 ゆ....
青木の出京」より 著者:菊池寛
常な尊敬を、思い出すことができた。彼の白皙な額とその澄み切った目とは、青木を見る誰人《たれびと》にも天才的な感銘を与えずにはいなかった。彼の態度は、極度に高慢で....
忠直卿行状記」より 著者:菊池寛
夜、自分の陣所へ帰って来ると、家臣をあつめて大酒宴を催した。自分が何よりも強く、誰人《だれびと》よりも勝って、祖父家康の賞め言葉の「日本樊※」という言葉が、まだ....
深夜の市長」より 著者:海野十三
装道路をめぐらしたあの宏壮な煉瓦建の建物の中に設けられて有ろうなどとは、外を行く誰人が気づいたことであろう。彼等はあの厳しい赤い煉瓦壁体の中には、古ぼけた事務室....
恐怖の口笛」より 著者:海野十三
の墓穴なのだ。この深夜、一体何ごとが起ったというのであろう。ジュリアを責める男は誰人? そして地底に現われた吸血鬼は、そも何処に潜める? 生か死か、覆面探....
芥川の事ども」より 著者:菊池寛
、一度などは芥川はぼんやり応接室にしばらく腰かけていたという。しかも、当時社員の誰人も僕に芥川が来訪したことを知らしてくれないのだ。僕は、芥川が僕の不在中に来た....
四次元漂流」より 著者:海野十三
究ノート第八冊と共に……。 怪紳士の留守宅に、おいて、このような奇怪な出来事が誰人にも知られずおこなわれている折も折、警視庁の捜査第一課はその主力をあげて三台....
流線間諜」より 著者:海野十三
なって折紙がつけられたこの怪事件も、その大きな計画に似あわず、随分永い間、我国の誰人にも知られずにいたというのは、不思議といえば不思議なことだった。 だが、後....
妖僧記」より 著者:泉鏡花
短し、ただこれのみならむには、一般|乞食と変わらざれども、一度その鼻を見る時は、誰人といえども、造化の奇を弄するも、また甚だしきに、驚かざるを得ざるなり。鼻は大....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
次ぎの瞬間には、私はこれから先きの未知の世界の心細さに慄い戦いているのでした。『誰人も迎えに来てくれるものはないのかしら……。』私はまるで真暗闇の底無しの井戸の....
キド効果」より 著者:海野十三
其の他に測定したものにも大抵K興奮の隆起がでている。つまり結論はこうだ。『人間は誰人に限らず、精神異常の素質を有す』ということになる。素敵な発見じゃないか」 「....
藤十郎の恋」より 著者:菊池寛
の死場所と定めたのである。その死因に就ても、京童は色々に、口性ない噂を立てた。が誰人も藤十郎の偽りの恋の相手が、貞淑の聞え高いお梶だとは思いも及ばなかった。 ....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
これはチベット語で和訳しますと、早くお越しなさいということで、一体この今の言葉は誰人が誰に話しかけたのかと、怪しんであたりを見回しますと誰も居らない。ただ夕陽が....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
と、それらを体験的に弁えた人であるが故に、我執も除かれ、万事、実相に明らかな眼で誰人とも応酬出来る。そこを「話が判る」と言ったのでしょう。私は当時幼くもあり、ま....
童話の詩的価値」より 著者:小川未明
れに最も感動して不純のところがないのは子供の時代です。生活に慣れ、世俗に化して、誰人もこの良心を鈍らし、正義の観念を薄くするものです。 子供程、物を見る眼の確....