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誰某
「誰某〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
誰某の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「刺繍」より 著者:島崎藤村
見た大塚さんは、この平素《ふだん》信じていたことを――そうだ、よく彼女に向って、
誰某《だれそれ》は女でもなかなかのシッカリものだなどと言って褒《ほ》めて聞かせた....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
身を引釣った、私は。日暮に谷中の坂で聞いた、と同じじゃないか。もっとも、年寄りは
誰某と人を極めないと、どの声も似てはいるが。 それに、言い方が、いかにも邪慳に....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
晶及書類を小林弁護士は皆よう知っとると云う事だが、其品々は何々で又其品々を証人は
誰某から取上げて裁判所に分らんように謀って授受してあるのか、又証人は喜平が事実罪....
「学生時代」より 著者:幸田露伴
せん。よくよく勉強の男でも十分間も先生を煩わすと云うのは無い位でした。それで、「
誰某は偉い奴だ、史記の列伝丈を百日間でスッカリ読み明らめた」というような噂が塾の....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
ける。 差配様が小首を傾け、 「時に、もし、迷児、迷児、と呼んで歩行きますが、
誰某と名を申して呼びませいでも、分りますものでござりましょうかね。」 「私もさ、....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
だよ。」 「対手にならないが、次第は話そう。――それ、弁持の甘き、月府の酸きさ、
誰某と……久須利苦生の苦きに至るまで、目下、素人堅気輩には用なしだ。誰が売女に好....
「尹主事」より 著者:金史良
(彼はそう發音した)の見切品を買取って貰えぬだろうかと何度も腰を曲げて叩頭した。
誰某が日本内地からそれを直接取り寄せて大儲けをしているからと得意然に。 「わっし....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
ているのを起すと、訳はない、ちょいと手を載せて、 (おや、また来ているよ。……)
誰某だね……という工合で、その時々の男の名を覚えて、串戯のように言うと、病人が ....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
様だ。三浦の土地が今度不思議にも助かったのは皆小櫻姫のお蔭だ。現に小櫻姫のお姿が
誰某の夢枕に立ったということだ……。難有いことではないか……。』 私とすればた....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
ことが分る。従来不朽の筆は不朽の人を伝えるもので、人は文に依って伝えらる。つまり
誰某は
誰某に靠って伝えられるのであるから、次第にハッキリしなくなってくる。そうし....
「学生と読書」より 著者:倉田百三
きではなく、人生、思想、芸文、学問というものの本質がそれを許さない。ヨーロッパの
誰某はかくいっているという引用の豊富が学や、思想を権威づける第一のものである習慣....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
あるまい。 夢になら恋人に逢えると極れば、こりゃ一層夢にしてしまって、世間で、
誰某は? と尋ねた時、はい、とか何んとか言って、蝶々二つで、ひらひらなんぞは悟っ....
「米」より 著者:犬田卯
とよりも何よりもおせき兄弟を身も世もあらぬ思いに駆ったのは、「お前ら家のおっ母は
誰某のメカケだっぺ、……」と言ったような同僚たちの嘲笑だった。 そのために兄弟....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
さんが薬をくれる病人は癒るが、薬をくれなければきっと死ぬにきまってる。なぜならば
誰某も診てもらったけれども、ただ未来の安心を説き聞かされて薬を下さらなかったとこ....
「活人形」より 著者:泉鏡花
。そりゃ大方|天狗が嚔をしたのか、そうでなければ三ツ目入道が屍を放った音だろう。
誰某は屁玉を喰って凹んだと大きに笑われたそうで、もう懲々して、誰も手出しは致しま....