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「誰知らぬ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

誰知らぬの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
仇討三態」より 著者:菊池寛
ぐに杯をさした。 嘉平次は、六十を越していた。が、彼は新参ではあるが、一家中で誰知らぬ者もない酒好きであった。さっきから、燗番をしながら、樽から徳利の方へ移す....
蠅男」より 著者:海野十三
、海岸の人気のないところで棍棒をふるって無慚にも撲殺し、所持金を奪って逃走した。誰知らぬと思いの外、それを同じくこの地に出稼ぎ中の同郷の人、玉屋総一郎に見られて....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
正体は判らなかった。ともかくも一種の宝物として高島の家に伝えられていて、藩中でも誰知らぬ者もない。梶井も一度見せられたことがある。今度屋敷を立退くに就いても、ま....
名人長二」より 著者:三遊亭円朝
指物の名人と呼ばれた利齋の一番弟子で、江戸にまいって一時に名を揚げ、箱清といえば誰知らぬ者もないほどの名人で、当今にても箱清の指した物は好事の人が珍重いたすこと....
新釈諸国噺」より 著者:太宰治
人は三丁さきから風をくらって疾走し、丸亀屋の荒磯と言えば、讃岐はおろか四国全体、誰知らぬものとて無い有様となった。才兵衛はおろかにもそれを自身の出世と考え、わし....
浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
谷部大尉は、思わず短剣の柄を力いっぱいぎゅっと握りしめた。 南シナ海の波浪は、誰知らぬ間に、刻一刻荒くなってゆきつつあるのだ。 そのとき入口の扉がこつこつと....
後の業平文治」より 著者:三遊亭円朝
ましたが、只気の毒だ、可愛相だというばかりで、もとより蟠龍軒の悪人なことは界隈で誰知らぬ者もございませぬ故、係り合って後難を招いてはと皆|逡巡して誰一人止める者....
退歩主義者」より 著者:坂口安吾
置いてあるじゃないか」 「エッヘッヘ。オヌシが着たきり雀だてえことは、この小屋で誰知らぬ者もないわさ」 馬吉は舞台裏へノソノソと歩いて行って、道具の陰へひッく....
一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
の所には旧幕時代からつづいている粟餅屋があって、昔一日百両の売上げがあったという誰知らぬものない名代の店であった。 私はある日そこへ粟餅を買いに行ったが、店が....
犬神娘」より 著者:国枝史郎
上人など当庵にはおられぬ。……これなるお方は野村|望東尼殿じゃ。……福岡において誰知らぬ者とてはない、女侠にして拙僧の野村望東尼殿じゃ。……和歌の会|催そうその....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
てのしにせの主人で、眼鏡を商って地味な家業をつづけていたが、呉服町の乗杉といえば誰知らぬものもなかった。乗杉はまた地方の民俗から文化史方面のことにわたって、その....
月世界跋渉記」より 著者:江見水蔭
と、一行は悉く気絶して終った。 そもそもこの探検隊は目下日本で有名な否世界中に誰知らぬ者もないほどに有名な桂田工学博士と、これもその道にかけては頗る評判の月野....
真珠の首飾り」より 著者:神西清
これだけは一応心得ておいても無駄じゃあるまいが、マーシェンカの親父さんは、世間に誰知らぬ人とてない金持の握り屋だぜ。」 「それがどうかしましたの? 残念ながらわ....
三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
る美徳の最高発現であったろう。 沼南のインコ夫人の極彩色は番町界隈や基督教界で誰知らぬものはなかった。羽子板の押絵が抜け出したようで余り目に立ち過ぎたので、鈍....
俗臭」より 著者:織田作之助
十六歳、かつて某浪花節寄席の持主の妾をしていたことがあり、旦那は南五花街の遊廓で誰知らぬ者のない稀にみる漁色家で、常に春画春本淫具の類を懐中にしている男であると....