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調子を合わせる
「調子を合わせる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
調子を合わせるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
直ちに応じて、コロコロ。少し心着いて、続けざまに吹いて見れば、透かさずクウクウ、
調子を合わせる。 聞き定めて、 「おや、」と云って、一段|下流の板敷へ下りると....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
することもできない。伊那の谷からの通路にあたる権兵衛街道の方には、馬の振る鈴音に
調子を合わせるような馬子唄が起こって、米をつけた馬匹の群れがこの木曾街道に続くの....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
に。 「塩烏賊のおろしあえと来ては、こたえられない。酒の肴に何よりだ。」と香蔵も
調子を合わせる。 「今に豆腐の汁もできます。ゆっくり召し上がってください。」とま....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
い感情までが一緒になって、一時にそこへ発して来た。だれが思いついて、だれがそれに
調子を合わせるとも言えないような「えいじゃないか」のめずらしい声が、町々にはわく....
「田舎教師」より 著者:田山花袋
いになんなすったな!」 とだれに向かって言うともなく言った。けれどだれもそれに
調子を合わせるものもなかった。父親の茶漬けをかき込む音がさらさらと聞こえた。清三....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
けたようです。 ところが、せっかく、死肉が笑い出しても、こちらの怪物は、それに
調子を合わせるだけの愛嬌《あいきょう》を持ち合わせておりませんでした。それのみな....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
田舎だけに声繕いして、 「お掛けやす。」 「お休みやーす。」 それ、馬のすずに
調子を合わせる。中には若い媚めかしい声が交って、化粧した婦も居た。 境も、往き....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
と娘とを認めた。あまりに意外だったので、茫然《ぼうぜん》としてしまって、管弦楽に
調子を合わせることさえ忘れかけた。協奏曲《コンセルト》の終りまで機械的にひきつづ....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
》であって、自分の限度を心得ていた。しかし彼女の正しい純なる声は、彼が自分の魂の
調子を合わせる音叉《おんさ》だった。彼はその声が自分の思想を反響するのが前もって....
「耳無芳一の話」より 著者:小泉八雲
、座蒲団が自分のために備えられているのを知った。それでその上に座を取って、琵琶の
調子を合わせると、女の声が――その女を芳一は老女すなわち女のする用向きを取り締る....
「生活と一枚の宗教」より 著者:倉田百三
まり合理的理想主義の態度でみましたときに、どういうように話してよいかわからない。
調子を合わせることはできないし、合わせなければへんだし、どうしてよいかわからない....
「犬を連れた奥さん」より 著者:神西清
彼で、女のうろたえように度胆を抜かれて、隣へ腰をおろす決心がつかずに立っていた。
調子を合わせるヴァイオリンとフルートの音がしだすと、彼はまるでそこらじゅうのボッ....
「三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
談を容れる余地はなかったろうが、応酬に巧みな政客の常で誰にでも共鳴するかのように
調子を合わせるから、イイ気になって知己を得たツモリで愚談を聴いてもらおうとすると....
「審判」より 著者:カフカフランツ
現することができず、事務局長の言葉に対して、当惑したような、しかし大きな笑い声で
調子を合わせるのだった。なんとも見苦しい光景だった! Kは落着いて皆を観察できた....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
た。彼女はあらゆる種類の疑惑と故障を持ちだし、それに対するあらゆる答えにたちまち
調子を合わせる、と思うとまた突然に逡巡し始め、もうひと息で決定に傾こうとするよう....