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諂
「諂〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
諂の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
りあいを演じた。支配人は、工人が給料に未練を残して、逃亡もしない。受取るまでは、
諂うように仕事に精を出す。――平生の見方をかえなかった。 支那人は、命よりも、....
「海賊と遍路」より 著者:黒島伝治
人間と人間との関係を見て大きくなった。貧しい者の悲しみや、露骨なみにくい競いや、
諂いをこれ事としている人間を見て大きくなった。慾のかたまりのような人間や、狡猾さ....
「魔法修行者」より 著者:幸田露伴
下皆鬼神の如くにこれを畏敬した。特に癇癖荒気の大将というので、月卿雲客も怖れかつ
諂諛して、あたかも古の木曾|義仲の都入りに出逢ったようなさまであった。それだのに....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
へ来ても白法師。どうやらお山は白法師のために荒らされているようでございますなあ」
諂うように微笑したが、 「私のためには結句幸い。何んとそうではございませぬかな」....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
になった時!」 怒るかと思ったら反対であった。片足の吉次は、声を窃《ひそ》め、
諂《へつら》うように頼むように、囁くような声で云ったものである。 「まあさまあさ....
「犬」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
る。何か己の享けるはずでない事を享けるというような心持であった。クサカはまだ人に
諂う事を知らぬ。余所の犬は後脚で立ったり、膝なぞに体を摩り付けたり、嬉しそうに吠....
「日置流系図」より 著者:国枝史郎
を出し酒肴を出し色々多右衛門をもてなした。多右衛門は別に辞退もせずさりとて卑しく
諂いもせず平気で飲みもし食いもしたがやがてゴロリと横になった。 「やれやれとんだ....
「銅銭会事変」より 著者:国枝史郎
いたよ」 「どうしてでしょう? 解らないわ」 「一方で威張る人間は、それ一方では
諂うからさ」 「ああそうね、それはそうだわ」 「おれの何より有難いのは、生地で仕....
「南蛮秘話森右近丸」より 著者:国枝史郎
張り上げると云ったものである。 「家財道具やお払い物、高く買います高く買います」
諂うように笑ったが「これはこれはお嬢様、綺麗な人形がございますな。お売り下さい買....
「血ぬられた懐刀」より 著者:国枝史郎
ら最後のこの言葉は、四塚の姥をまどわしたらしい。 しばらくの間は黙っていたが、
諂うように声をかけた。 「黄金を下さると有仰るので?」 「やるよやるよ、背負いき....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
声が聞こえて来た。
「しかれどもただ、業のみ敬いて、誠の心うすければ、君に
諂うに近うして、君を欺くにも至るべし。本心より二心なく敬うを忠といえり、忠は己が....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
説|贅議を闘わすに日も足らずであった。 二葉亭はこの中に投じた。虚文虚礼|便佞
諂諛を賤しとして仕官するを欲しなかった二葉亭もこの意外なる自由の空気に満足して、....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
心に富んで居るという侠気の人間はカムの人に多いと私は観察しました。そうむやみにお
諂などいうのは大嫌いの性質である。
モンゴリヤ人はどうかするとつけたようなお
諂....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
うが、
落ち著いてそれを持っておいでなさることは出来ません。
横著者がずるずると
諂い寄ることもあり、
盗人が大胆に奪って行くこともあります。
その御用心をなさら....
「古事記」より 著者:太安万侶
よう」と申しました。そこでホヒの神を遣《つかわ》したところ、この神は大國主の命に
諂《へつら》い著《つ》いて三年たつても御返事申し上げませんでした。このような次第....